第4話-3 探偵と万華の調査会議
ガラガラガラ
「ただいま。御園婆さん、帰ったで。御園婆さん、おるんか?」
と居間の方に行ってみると、権さんがいた。
「万華、学校は如何だった? 初日から問題を起こさなかっただろうな」
ムっ。こいつ父親気取りかい。だったら、対等の立場にしてやるけん。
「あら、そちらの首尾は、如何なのかしら、Mr.千野? 何か分かったのかしら? 」
「おい、ロシアンマフィアの女ボスみたいな格好するんじゃねぇ」
「私と貴方は対等の立場、これは分かるわよね」
「分かったから。婆さんが帰ってくると話がややっこしくなるから」
ガラガラガラ
「ゴンちゃん、リンゴ買ってきたわよ」
「御園婆さんだ。万華、元に戻れ」
「あら、指図されるような間柄だったかしら?」
「開けるわよ、あら、万華ちゃんも帰っていたのね」
「お帰りなさい御園婆さん。ウチも、さっき、帰ったとこやで」
「そうなの。じゃぁ、お夕食済ませたらリンゴ切りましょうね。ゴンちゃんもお夕食、食べてらっしゃい。用意するからちょっと待っててね」
「ふー、危ねぇところだぜ」
「で、上坂京子は如何だったのかしら、Mr.千野?」
「だから、コロコロ変わるんじゃねぇ。分かった。降参する。もう父親のようなことは言わねぇようにするから」
「分かれば宜しい」
「それでだ、上坂京子を調べてみたが、20歳の時、失踪事件を起こしている。6日間、どこで何をしていたか記憶が無いらしい。それからライトノベルを書き始め、今に至っている。その他、久保田が探っているが、個人情報保護の壁が厚い。しかし、上坂京子が何か仕組んだとしても、俺の事務所に依頼したのは何故だ? 士佐山を見つけ出し犯行を防ぐためか? それとも、たまたまか? どうもわからねぇ」
「失踪事件、その辺りは気になるなぁ」
「ああ、しかし、今のところ手がかり無しだ。万華の方はどうだ?」
「せやな、余計な障害物を取り除いたところや。まだ、調査には至ってへんが、士佐山は虐められとったようや。明日、ラノベ研究会の人に聞いてみようと思っとるところや」
「余計な障害物? を取り除いた?」
「権さんは、気にせんでええ」
「気になるだろう。一応保護者として学校には登録しているのだから」
また、父親気取りかい。
「Mr.千野」
「あああ、分かった。分かったから、瞬きする間に変身するのは止めてくれ。頭がおかしくなる」
「権さん、士佐山が、上坂京子の他のサイン会で接触しておらへんか、調べられへんか? 接触っちゅうのは、そう、握手したとかや」
「ん? 分かった。久保田にも当たらせよう」
◇ ◇ ◇
「さあ、できたわよ。今日はカレー。ゴンちゃんも好きでしょう? 万華ちゃんは如何かしら。お口に合うと良いけど」
「いただきます。ウチも、カレー、めっちゃ好きやねん。権さん、何見てるや」
「いや、別に」
万華は、カレーをすくったスプーンを持ち上げて俺に見せるようにした。ニャッと笑うと、スプーンの上のカレーが消えていった。
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