第4話-2 万華 カツアゲに遭う

「あら、新入りさん、来てくれたのね。ちょっとあんた、目立ち過ぎ。締めておいた方が良いかと思ったのよ。ほほほほ」

と姉御が変な笑い方をした。


 別に目立った格好はしてへんけどな。やっぱり天女の美貌は隠せんのやなぁ。それにしても何ぞ絵に描いたように事が運ぶやんけ。相手は女二人に男三人。これからどないしょう。


 ①恐ろしい振りをして許しを請う。②叩きのめす。③逃げる。④殺す。


「あらー、怖くなって言葉も出ないのかしら。取りあえず財布を置いて消えな。そうしたら今日の所は許してやるわ」

「おい、姉御がそう言っているだよ、何とか言えよ。チビってのか」

「あら、そんな汚い言葉使ったら駄目よ。新入りさんが腰抜すじゃない。ほほほほ」


 ④は取りあえず駄目あかんな。権さんに怒られるやろ。①も③も性に合わんな。やっぱり②叩きのめすやろ。


 さっ始めっか。

「オドレら、さっきから黙って聞いてれば、調子こきやがって、おう、相手になってやるけん。まとめてかかってこいや。ええか、死ぬ気でこいよ。でないとほんまに死ぬで」

と、ちょっとドスを利かせて優しく語りかけてみた。


 すると全員二歩下がった。


「えっ …… おい誰だよ、良いカモになるって言った奴は。目つきが変わってすげええ、怖そうだぞ」

「教室に居たときと全然違うぞ。ちょっとお前やってみろ」

「あんた、やりなよ、男だろ」


 なんやねん、先陣、譲りおうとるよ。もしウチが魔王やったら、まとめて死んどるぞ。


「おい、オノレ、その股にぶら下げとるのは飾りか? ついとるなら、早よかかってこいや」

と言いたった。


 ほう、男が一人、棒をもってウチの前に出てきよった。しかし、絵に描いたようなへっぴり腰やな。


 そいつが

「か、か、か、かね、かねを」

と言った時、睨み付けると

「置いていってください」

と言った。


 こいつ何言うとるんじゃ? 頭まで下げて、ウチに頼んで如何するじゃ。訳分からんな。


「オノレ、武器使うかい。ええ度胸しとるやんけ。ええぞ。ほら打ち込んでこんかい」

と葉っぱをかけた。


 すると、

「やー」

と何とも情けないかけ声。


 ウチは棒を奪って、バキッと折って見せた。なんや、全員無言かい。


「次はオノレらの首な」

と言うと、全員悲鳴を上げて逃げ去る。


「ええか、今度ウチの前でなめた真似したら、ただじゃおかねぇからな」

と散って逃げる蜘蛛の子たちを優しく諭した。


 なんや。逃げ足だけは速えな。所詮、お坊ちゃま学校の不良ってことやな。せやけどこれで調査しやすくなるわな。折れた棒は、イリュージョンやけどな。

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