第26話 精神世界
「あの空間……どこかの空間と繋がって道になっているのね……」
ミサが顎に人差し指を置いて考えていると、いつの間にか割れた空間が閉じてしまっていた。
再度 商業施設の入り口部分が爆発をすると、そこから景昌が竜司と共にミサと愛理のもとに走ってきていた。
「二人とも! 無事か!」
「生きてるか?」
景昌と竜司がミサと愛理に話しかけると、竜司がミサに雰囲気が変わったかと話しかけた。
「そうなの! なんか女っぽくなってるの! なにか言ってやってよ!」
「頭でも打ったのか?」
竜司がミサの頭を軽く叩いていると、ミサがやめてと竜司の手を払った。
ミサが景昌と竜司にあの巨大化した若い男性をどうにかしないとダメじゃないのと話しかける。
「そ、そうだな……出雲君の女性言葉に慣れないけど、今は目の前の敵をどうにかするしかないな」
「そうよ? じゃないとこの一帯が更地になるわよ?」
ミサがそう言った瞬間、巨大化した若い男性が移動を始めた。ミサたちがいる廃棄された商業施設から移動をし始めた巨大化した若い男性は、今いる地点から北側にある駅に向かおうとしていた。
「ここから北側にある駅に向かおうとしているぞ!」
「駅ってどこにあるのよ!? すぐ側にはないわよ!?」
愛理が駅ってどこにと周囲を見渡していると、竜司があっちに5キロ程度進めばあると愛理に教えていた。
ミサは巨大化した若い男性を見ながら、これからこういう人が増えていくのかなと一人で考えているようであった。
ミサが戦いますかとため息と共に言葉を発すると、ズキンと頭痛が発生した。ミサは出雲が意識を取り戻したのかと察すると、精神世界に意識を移し始める。
ミサは目を閉じて心の中に意識を移すと、そこは綺麗な青空と美しい草花が咲き誇っている草原に出た。
「ここが黒羽出雲君の心象世界かな? 綺麗な場所だわ。 出雲君はどこにいるんだろう?」
ミサが周囲を見渡しながら、頬を軽く撫でるそよ風が気持ち良いと感じていた。ミサが風が気持ちいと呟きながら草原を歩いていると、地面に仰向けで寝ている出雲を見つけた。
「ぐっすり寝ているわね。本当に目覚めそうなのかしら?」
ゆっくり寝ている出雲に近づくと、静かにゆっくりと目を開け始めていた。
出雲はゆっくりと目を開けると、ここはどこだろうと小さく呟いて体を起こし始める。
「俺はいつの間にこんな場所に来たんだ? 確か商業施設で戦っていたはずじゃ……」
「出雲君は戦っていたあの少女に殺されそうになったんだよ。それで私と意識を変えて代わりに戦っていたの。出雲君の意識が戻りそうだったから、会いに来たんだよ」
ミサが出雲に話しかけると、出雲は驚いた顔をしていた。
「お、俺はまた死ぬところだったのか……ミサさんありがとう……」
「傷はまだ癒えていないけど。私が肩代わりをして癒しているわ。出雲君の体には傷はないから、すぐに全力を出せるはずよ」
傷を肩代わりしていると聞いた出雲は、ミサに対して申し訳がない気持ちで一杯であった。出雲は立ち上がると、ミサに対して頭を下げる。
頭を下げた出雲は、ここはどこなのかとミサに聞いてみることにした。
「ここってどこなんですか? 見たことがない場所で、不思議な気持ちになるんだけど」
出雲はふわふわとした感覚だとミサに言う。
ミサは出雲に君の心象世界だよと返した。ミサは君の思い描いている世界で、君の精神世界でもあるよとも付け加えた。
「俺の心の世界? 心象世界?」
出雲はミサの話を聞いても言葉の意味が理解出来ていなかった。ミサは出雲に地面に座ろうと提案をした。
「分かった。ていうか、外の世界は大丈夫なの!? こうしている間にも戦いが!」
「心配はいらないわよ。ここにどれぐらいいようが、そとの時間は経過していないわ。だから安心していいわよ」
出雲は少し安心した顔をする。外の戦闘が気になっていたことや、ここでどらくらい時間が過ぎても外の時間が経過しないことに安心をしたからである。
「精神世界だから、ある種外の世界では一瞬の出来事なのよ。だから安心していいわよ」
「分かりました!」
出雲がミサにありがとうと言うと、ミサが軽く咳き込んでしまう。
「だ、大丈夫ですか!?」
「あの時の傷も癒えてなくて、さっきの傷も引き受けたから少し辛かっただけよ」
ミサは何度か咳き込むと、出雲に君に体を戻すねと言う。出雲はありがとうと感謝の言葉をミサに伝える。
「いいのよ。私を体の中に入れてくれているから、これくらい当然よ。さ、早くみんなのところに行ってあげて」
「分かりました! ミサさんはゆっくり体を癒してください!」
出雲がミサに体を癒してと言うと、立っている世界が回転し始めた。
「な、なにこれ!? 気持ち悪くなる!」
口元を抑えて気持ち悪いと言っていると、ミサがもうすぐ元の世界に戻れるわよと教えてくれる。
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