開き直り 丁度二年半前の「僕」の宣言全文
他人への悪口を吐いた後、誰へともなく言い訳をする。
「別に嫌いな訳では無いのよ」
別にその人が見ていた訳でもない。ただただ、言葉に出さねば怖いのだ。秘した心を零さなければ、誰に伝わる訳でもない、それを解しているから口に出す。
……別に、悪口の対象である彼らが嫌いな訳では決してない。むしろ好いているところすらもある。それなら何故、罪悪感が残るようなことをついするのか。
答えはすぐに見つかる。
そんな話題で盛り上がる友人がいるからだ。
当然の事として、もちろん彼らのような者も嫌いではない。むしろ攻撃的な内容を好いている部分があるからこそ、彼らと連むことも多いのだ。
そう、僕は誰に対しても、良い顔をしたがる。
なぜなのか。
弱いからである。
孤立などしたくはない。弱いから。
争うつもりは毛頭ない。弱いから。
自分の弱さ故に続けてきたこの生き方は、もはや過去から積み重なってきた僕の本質である。既にどうこうできる代物ではなくなっている。
八方美人は褒め言葉。波風立たねばそれでいい。どうでもいい。後で後ろ指を指されても、またその時には誰かを丸め込もうとするだろう。
矛盾を孕んだこの生き方でも、辻褄合わせに奔走しようとも、僕はもう考え直しはしない。それが僕の人生なのだ。
停滞を平和と偽りながら、今日も僕は生きていく。
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