第139話 謝罪
「あっえっと…その…すいません」
「いや別に怒ってはいないから。ただなんでさっき私のほっぺをムニムニしてるのかなと」
「そ、それは…」
キロルの顔が赤く染まっていく。どうやらさっきの事が恥ずかしいらしい。
「や、柔らかそうだとお…思いまして」
「そっか。私が可愛いと思ったのかな?」
ミナルはちょっとキロルをいじる事にした。そう言うとビクッと尻尾が真っ直ぐになった。
「か、可愛いと思います。それに美しいで…す」
キロルは恥ずかしいさで死にそうだった。もう今すぐ逃げたかった。
「あ、あの!パスタができてましゅ」
「あっ噛んだ」
「〜!」
もういつもの冷静で落ち着いているキロルではなかった。
「一緒に食べよ?」
「はい…」
まだ元に戻っていないキロルを椅子に座らせ向かい合って食べようとした。
「いただきます」
「いただきます…」
もぐもぐ…美味しい。でもちょっといじっただけであんな感じになるとはね…なんか悪い事しちゃったな。
「さっきはごめんね?」
「大丈夫です」
今は落ち着いているがまだ耳や頬が赤く染まっている。しばらくはこのままだろうと思った。心なしかキロルの声が小さい。
「にしてもまさかキロルにそんな一面あるとはね」
「…」
また顔が赤く染まった。
「ごめんごめん。流石に悪かったね。でも新しい一面を知れて嬉しいよ。可愛いのが好きという事がね」
「それは…」
「違うの?」
そう言うとキロルは頭を伏せて小さく言った。
「違わないです…」
「あっそうだ!落ち着いてからでいいからさ…買い物行かない?」
「買い物?それは私が…」
「食べ物とかの買い物じゃなくて…キロルと一緒にぬいぐるみとか買いたいじゃん?」
「は…い」
おそらくキロルは自分の好きな物が「可愛い物」というのがまだ受け止めれてない。だから反応もどことなくぎこちない。
「いい?キロル。自分の好きな物は胸を張って言った方がいいよ。まぁ今まで気づかなかった私も悪いけどね」
「好きな物ですか…」
「そう好きな物。そうだね…私が好きなのはキロルや生徒達の顔が好きだな」
「何故ですか?」
「なんかさ私が教えてきて笑顔になってるとか楽しんでるとか思うとなんか良いじゃん」
そう言われてキロルの中から何か鎖のような物が弾けた。
「好きな物には必ず好きな理由がある。キロルにもあるでしょ?」
「そう…ですね」
「だから堂々と可愛い物が好きですと言えばいいじゃん?ね?」
そう言うと少し黙ってから口を開いた。
「分かりました。これからは堂々と言います」
「うんうん。それでいい」
「あの欲しい物があったら購入してもいいですか?」
「全然いいよ〜お金はあるし…むしろどんどん買ってさ…この家を飾ろうよ!なんかこの家寂しいじゃん?」
「ありがとうございます」
キロルの顔が笑顔になった。まだ顔は赤いがミナルはこの時の笑顔が1番好きだと思った。
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ミナルとキロル…てぇてぇなぁ(遠くから見てる作者)
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