第115話 可能性

「そこで注目すべき点が次元干渉と次元干渉の間隔です。おそらく均等になってます」


ガントレットとスレインは地図を見てなんとなく分かったらしい。


「最悪だ…これじゃあ守りを固める事すらできない」

「そして次元干渉は刻一刻と大きくなっています。完全に大きくなれば私でもそれを抑えるのは厳しいと思います」


ミナルが学校で起こった次元干渉の時に使った天翼の眼球はもともと封印などを目的として作られた物ではない。


ミナルがスキルなどを色々併用して成り立っているものである。


そしてそれを一つずつ封印するとなると途方もない時間がかかる。


「可能性として出来るのはこの数百個の次元干渉をまとめて封印する事です。しかしこの私のもう一つの目が耐えれずに壊れる可能性があります」


魔導具というのはその用途に対しては効果を発揮できるがそれ以外だと何もできない。しかしミナルが使っている天翼の眼球はその用途の範囲がとても広い。


しかし魔導具というのには変わりはない。普通の魔導具よりも耐久は1番高いとミナルは考えている。なので数百個の次元干渉も何とか出来るはずと考えていた。


「壊れるという確証は?」

「ありません。しかし…」

「いや大丈夫。そこまで君を酷使させようとは思っていない」

「なら良かったです」


するとスレインが指を動かしながら言ってきた。


「どこからなのか分かる?」

「それはすでに調べました。相手は魔界です」


ガタッ…


ガントレットが突然立ち上がった。何か震えているように見えた。そしてこう言った。


「以前にこんなに多くはない…が次元干渉が確認されて魔界から攻めてきた。私は当時小さかったがどうなったかは覚えている」


ガントレットにとってあまり良い記憶に戻った。ミナルはそれ以上追求しなかった。


「次元干渉はまだ小さいところが多いですが…何故かここだけ大きいんです」


ミナルはある場所を拡大した。そこにはもう人が1人入れるほどの大きさとなっていた。


「仮に…もしここの次元干渉が無くなったら他の小さい次元干渉も消える可能性があります」

「ここまで次元干渉が多いのなら1つを大きくさせてそれを通じて展開するというのもあるか…」

「はい。しかし相手のことを知る事はできません。今の事は推測ですから…それを踏まえた上でどうしますか?」

「むぅ…」


ガントレットとスレインはうーんと考え込んでしまった。


「ミナル様1つよろしいでしょうか?」

「何かな?」

「魔界って何ですか?」

「あっそっか…知らないもんね」

「はい…」


2人が考えている最中にミナルはキロルに魔界について教え始めた。


「魔界というのは…魔族がいるみたいな事を考えがちだけど魔族がいるわけではないの。魔族はこの世界にいる」

「それは知ってます。じゃあ魔界とは?」

「悪魔がいる世界だね」

「だとすると…」

「人と悪魔が戦ったら悪魔が勝つ。私やキロルやハジメ君が戦うとなったらこっちが勝つ」

「Sランク冒険者でも?」

「うーん…Sランク冒険者がどのくらいか分からないけど下級の悪魔ぐらいなら集団で戦ったら勝てるかも」

「まずい状況ですね」

「そう。だから2人とも悩んでいるのさ」

「なるほど…ありがとうございます」

「うん」



一応障壁を何重にも重ねて進行を食い止める事はできるけどそれは根本的な解決にはならない。かなりまずい状況だよ…

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