第13話 離れ離れになっても・・・
その日の、H.R. の時間。
「えー、みんなに1つだけ大事な報告がある。優城 鮎夢が、今月付けで退学処分となった」
「えっ!?」
クラス中もざわつく。
「…向こうからの要望だ」
「…鮎夢が…?嘘…だって…仕事…って…まさか…」
私は教室を飛び出した。
「あっ!こらっ!椿っ!椿 魅羽っ!待ちなさいっ!」
後を追う先生。
「こらっ!椿っ!」
「何でよ!たかが芸能人だっただけじゃん!それなのに…ふざけんなっ!鮎夢が退学するなら私もするっ!第一、私だって事、知っていたんだからっ!」
バッ
振り解く私。
私は鮎夢に連絡をする。
「はい、もしもし?お前、何で電話してきてんねん。今、H.R. 中やろ?」
「馬鹿っ!嘘つきっ!何でよ!鮎夢、退学処分って自分からの要望って嘘だよね?ねえ、鮎夢」
「あー、何や?その事かいな。俺自身の要望やで?俺の人生やし、決心しとったんや。バレた時、俺は退学するって。だからそういう事さかい。お前には改めて言おうと思うてたんやけど」
「それは嘘だよ!鮎夢は絶対に言わない!私の事庇ったあんたが言うはずないよ!」
「…魅羽…」
「ねえ鮎夢、何とかならないの?」
「ならへん。だってもう決まった事やし、今さら撤回出来る訳ないやん!第一、学校に迷惑掛かるのは嫌やしな」
「鮎夢…私…」
「何や?」
「私…鮎夢の事…好きなのに…私の想いどうなるの?」
「…………」
「どうなるの?言われてもやな…そんなん、今話す事か?帰ってからでええやん」
「…帰ってから?…鮎夢…帰って来ないつもりでしょう?」
「えっ?」
「誤魔化したって分かるんだからっ!学校辞めて、家にいるなんて事、するわけない!」
「……そういう事だけは、勘が鋭いねんな…お前は…だったら今から言う事、心して聞けや」
「…何?」
「俺が前に優城 鮎夢も、ayumu も同じ心の中でお前の事一人の女として見れへん言うたよな?」
「うん…」
「正直に話したる。俺は…ホンマは…お前の事…好きなんや…」
ドキン
「えっ?」
「ホンマは…相思相愛やねん!せやけど…距離はおいた方がええ。お互い学生やし、俺は学生しながら仕事せなあかんねん」
「…鮎夢…」
「卒業するまで離れ離れになるけど……必ず戻って来るから、お前は、待っとくんや!ええな」
「鮎夢…うん…約束だかんね!」
「ああ、約束や」
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