第8話 二人きりの夜のハプニング
~ 鮎夢 side ~
≪何や?最近視線がやけに……≫
≪なっ…!≫
≪視線の正体はコイツか……≫
最近、妙に異常な程、俺は視線を感じていた。
≪一体コイツ何者な訳? ayumu と、どういう関係!?≫
≪そのうち分かるとか言われたけど≫
私は、最近鮎夢を観察中。
「なあ、お前、最近、何やねん!」
「何が?」
「人の事をじーっと見て!」
「気のせいでしょう?目が悪くなったみたいで、目を細めないと良く見えなくて。別にあんたの事を見てる訳じゃないから」
「いやいや、十分見てるやろ?」
「見てませんが?自分がカッコイイからって何処からかそんな自信あるのかなぁ~。優城 鮎夢さん」
「なっ…!」
私達は、ごはん中とはいえ言い合いをしていた。
そんなある日 ――――
「ただいま」
「おかえり」
「あれ?鮎夢一人?パパとママの靴が見当たらないんだけど何処かにお出掛け……」
スッと私の目の前にメモ紙を見せた。
「なっ…!」
「そういう事やから、2人でまた留守番っちゅう事や」
サササ……
後ずさりする私。
「何やねん!人をバイ菌みたいに!」
「へ……変な真似したら承知しないから!」
「アホっ!誰がするかっ!お前こそ寝込み襲わんといてな?」
「はあぁぁっ!?」
「愛しの ayumu にそっくりやからって夜這いされそうや!」
「しませんっ!」
私は足早に2階に駆け上がった。
その日の夜。
ゴロゴロ……
外の雲行きが怪しく雷が鳴り始める。
「……雷…?…私…苦手なのに…よりによってアイツと二人きりの日に限って…冗談…」
コンコン
部屋のドアがノックされる。
ビクッ
「お風呂、さっさと済ませたらどうや?酷くなって停電になっても知らんで!」
「大丈夫に決まってんじゃん!」
「あー、そうですか!じゃあ、ご勝手に~。俺は、もう先に部屋行くし知らんでぇ~。そのまま寝るかもしれへんから」
≪えっ!?マジで言ってる?≫
鮎夢は去って行き自分の部屋に入って行った。
私は足早にお風呂場へ行き済ませる事にした。
「全く!何意地張ってんねん!あのアホっ!」
そして ――――
ゴロゴロ……
雷は更に酷くなり雨も降り怪しくなってきた。
「早く部屋に移動しなきゃ!」
そして、もう少しの所で青い稲光りが光る。
私は余り怖さに鮎夢の部屋の前に足早に行くのだった。
ガチャ
ドアを開ける。
「うわあっ!」
ゴロゴロ……ドーン……バリバリ……
「きゃああっ!」
ドサッ
勢い余って押し倒す私。
雷は地響きと共に何処かに落ち停電するのだった。
少しして電気がつく。
「全く!たかが雷で何でそんな恐がるんや?」
ドキン
「わ、悪かったわね!」
バッと離れ背を向ける私。
再び雷が鳴り始める。
ゴロゴロ……
稲光りが光る。
私は耳を塞ぐ。
バリバリ……
ドーーン……
ビクッ
地響きと共に再び雷が落ちる。
再び停電する。
≪部屋に行けない……無理無理……≫
フワリと背後から抱きしめられる。
ビクッ
「きゃあっ!」
「一緒にいてあげましょうかぁ~。お嬢さん」
「い、良いっ!だ、大丈夫!」
「ほな早、部屋出て行ってもらおか?」
「わ、分かってます!」
抱きしめた体を離す鮎夢。
電気がつく。
「………………」
私はゆっくりと立ち上がるとドアノブに手を掛ける。
再び雷が鳴り響く。
≪頑張れ!魅羽≫
スッとドアノブにある私の上に背後から手が伸び重ねられる。
ドキン
「何、意地張ってんのか知らへんけど無理せんでもええんちゃうの?」
「べ、別に無理なんか……」
グイッと振り返らせ、壁に押し付けた。
ドキッ
「どう見たってしてるやろ?」
「してないからっ!」
「…はあぁ~……あんな魅羽、お前見てれば分かるわ!俺の事が嫌いなら嫌いでかまへんし、似てるからどうこうとか……別にええねん…せやけどもっと素直になった方がええんちゃうの?」
「私は常に素直ですっ!」
「………………」
「お前…絶対に男出来んで!」
「うるさいなっ!私に彼氏が出来る出来ないは鮎夢には関係……」
キスで唇が塞がれた。
≪えっ……?≫
ズルズルと私は腰を降ろす。
グイッと私の手を掴む。
ドサッ
気付けば押し倒され、私の両手を押えつけられ、私の上に股がる鮎夢。
ドキッ
「えっ!?ちょ……ちょっと鮎……」
再びキスをされ首スジに唇が這う。
「や……辞め……鮎夢……」
私を上から見下ろすようにする鮎夢に、私の胸はドキドキ加速する。
「なあ魅羽、今、お前が芸能人の ayumuやないかな?って俺を疑ってんの知ってんけど、その疑いが晴れたらどうや?」
「…………」
普段見慣れない鮎夢に胸がざわつく。
「別に暴露してもええねんで?」
「………………」
「色々と疑問な部分あんねやろ?」
「そ、それは……」
「芸能人やない俺が何で台本っていうの持ってるんや?ってな?それがお前の一番の疑問の部分やろな?」
「…………」
「それに関しては…言い訳する気はあらへん。素直に認めて貰ってええで」
「えっ?」
「あれはホンマに台本やからな。薄々気付いているかもしれへんけど、まだ疑ってもろてもかまへん」
「鮎夢……」
「しばらく様子見て貰ってもええから。改めて詳しくキチンと話すさかい」
私から離れ、グイッと引っ張り起こす。
私の両頬に優しく触れる鮎夢。
ドキン…
「部屋に戻りぃ。それとも一緒に寝るか?」
「け、結構ですっ!」
私は鮎夢の部屋を後に出て行った。
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