第4話 鮎夢 と ayumu

「ayumuって…どんな人なんだろう?」



私は自分の部屋で、ayumuの曲を聴きながらぼんやりしていた。




数日後 ――――



「ねえ、魅羽。今度ショッピング行かない?」



裕佳子が言ってきた。



「ショッピング?うん、良いよ」

「ありがとう」



私達は出掛ける話をし盛り上がる。




出掛ける当日。




「ねえねえ、この洋服、可愛いね?」


裕佳子が言った。



「うん!可愛いじゃん!」




私達は色々な店をまわり楽しい時間を過ごす。




「ねえ魅羽って鮎夢君と仲良いよね?」


「えっ?そ、そうかな?」


「そうだよ。でも…何か微妙な関係?」

「そう見えている感じなんだね」

「うん。何か二人の間にはあるみたいなんだよね~」


「そう?何もないけどなぁ~」

「そうだよね?」

「うん」



≪同居しているなんてバレたらヤバイし言える訳がない≫




ある日の夜。


「あれ…? 鮎夢…まだ起きて…」



私はゆっくりドアを開ける。


ドキン

胸が大きく跳ねた。



ヘッドホンを装着し、ギターを弾いている鮎夢の姿。



すると、鮎夢は視線を感じたのか手を止め振り向いた。



「あっ、すまん起こし…魅羽」

「ごめん……明かりがついていたから」

「あー」

「ねえ、オーディションとか送ってみたら?」

「えっ?」

「いや…この前のも良いの掛けてたし、良い線いきそうなんだけどなぁ~」



「別に応募するまでもない」

「そう?好きな事が仕事になったら良くない?」

「まあ、そのうちな」

「そう?それじゃ、お邪魔したらいけないから行くね。余り無理すんなよ。鮎夢」


「おう!サンキュー」



私は鮎夢の部屋を後に去る。



「…違う一面見たからか…ドキッとしちゃったじゃん……様になってもいたし…」




「ayumu 本人が曲応募してどないすんねん…まあ、しゃーないわなぁ~。アイツは知らへんからな。俺が、ayumu ちゅー事」





ある日の放課後。



「あの…すみません。ここのクラスに優城 鮎夢さんいらっしゃいますか?」


「彼なら今、いないけど」

「そうですか。分かりました。失礼します」


彼女は走り去った。




「あっ!ちょっと…今の子……1年生だよね……」



その時だ。


「おい!邪魔や!そのドデカイ体で出入り口を塞がんといてくれへん?」


「えっ、あっ、ごめん……って…鮎夢!?つーか酷くない?そこまで太ってません!」


「鏡見てみぃ~、ヤッバイでぇ~」


「あのねーーっ!」

「ほらほら、邪魔や!」

「ムカつくっ!」

「トイレに行って来いや。その後、保健室行って胃薬貰い~」


「もーーっ!」

「ここは学校やねんけど何故か牛いてるでっ!」

「もう何なの?」

「何やねん!牛型人間ロボット!」


「本当、失礼な奴だよね!?」

「知らん!さっ!帰ろ!」

「あっ!ちょっと待ってよ!」

「何で待たなアカンねん。俺人間やから家に帰るんや!お前は牛小屋に帰りぃ~」


「いちいち腹立つんですけど!」


「お先~」


「ちょっと待ちなよ!」

「嫌や!」




私達は騒ぎながら帰る。



そんな中、さっきの1年生の話をした。


「あの子かなぁ~」

「知ってる感じ?」

「えっ?」

「愛の告白でもされた?」

「されてへん!」

「またまた~」


「何やねん!俺は、今、彼女とかいらへんし」

「青春しなよ!」

「お前もや!」

「私は、ayumuで十分!」


「俺!?」


「はあぁぁっ!?何言ってんの!?芸能人の ayumu と同じ名前だからってバッカじゃない?」


「なっ…!」


「それとも似てるからって調子に乗らないでね~。優城 鮎夢さ~ん」


「腹立つ!」



私達は再び騒ぎながら帰るのだった。










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