第3話 代物

「あっ!あった♪ayumu のCD~♪ayumu は 人気あるからすぐ完売しちゃって発売日か予約するかしなきゃ買えないんだよね?」



その日の夜、私は音楽を聴いていた。




「おーい、魅羽ーー、風呂やてーー。魅羽さぁーん」



鮎夢が、言うものの、気付きはしない。



ガチャ

部屋のドアが開く。



スッとヘッドホンが外された。




「あっ!ちょっと何すんのさ!人が、せっかく聴いてたのに!」


「ふ・ろ・や・て」


「ふ~ん……」




ヘッドホンを鮎夢から取り上げると再びヘッドホンを装着しようとする。




「先に風呂入れやっ!いつでも音楽は聴けるやろ?CD は、消えへんし、なくならへんっ!」



「わ、分かりましたっ!行けば良いんでしょう!!」



私はお風呂に行った。


「アイツの部屋は、 ayumu ばかりやなぁ~。相当ファンなんか?」




次の日の学校帰り、偶然、鮎夢と帰っている時の事 ―――




「良いなぁ~。ayumuのポスター大きいの欲しい~。いや…一枚じゃ足りないかも」


「お前、そんなにアイツの事、好きなんか?」


「うん!もう大大大ファン。死ぬ程、好き」


「……重症やな……」


ボソッと呟く鮎夢。




「何!?何か言った!?」


「べ、別に」


「ふーん…そっ?」



私達は色々と話をしながら帰った。





数日後の夜 ―――




「おーい、魅羽、入るでー」


と、ドアを越しから鮎夢の夢。



「何?」




カチャ


ドアを開き振り返る私。



鮎夢は歩み寄り、私の机の上に何かを置く。



「何、これ」


「お前が宇宙の遥か彼方に飛んで行くかもしれへん代物や。じゃあ、渡したさかい思う存分好きなようにしいや」



そう言うと出て行く。


私は鮎夢が置いて行ったものを確認する。




「えっ?きゃーーー♪こ、こ、これは私の大大大好きな愛しの a・yu・mu ぅぅぅぅっ!」



私は部屋を飛び出し、鮎夢の部屋に飛び込む。



「鮎夢ぅぅーーっ!」


「うわぁぁっ!何やっ!?何かでっかいの俺の部屋に飛んで来たでぇぇっ!」


「ありがとぉぉぉっ!」



鮎夢に抱きつく私。



ドサッ


勢いで倒れる私達。



「ねえねえ、このポスター最新b CD の ポスターでしょう?」


「ああ、そうや」


「何で、何で?」


「知り合いにいてるから。広告会社とか……そういう業界に関連している人が」


「ねえねえ、また、貰える?」


「さあ?どうやろな?ポスターは余ってたから貰えたからなぁ~」


「そうなんだ……」


「せや。だから毎回貰える訳やないねんから期待せんといてな」


「そっか……分かった」


「分かったら、はよ出てってくれへん?」


「えっ?」


「よう見てみぃ。俺、下一枚しか履いてへんのやけど」


「わわっ!ごめんっ!」


「真っ裸やなくて良かったものの」


「失礼しましたぁ~」



私は慌てて部屋を出た。




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