我が世誰ぞ常ならむ
私は『十年前のこの時間』、実家のベッドの上でまどろんでいた。不意に忘れかけては、ふいと昨日の大事のように思い起こす。十年の歳月が、あと数時間もすればまた過去になる。
この十年でなにが変わっただろうか。変われたのだろうか? 当然、浮世は変わったし、被災地も変わった。では皆は? 私は?
私は――引っ越した。
就職した。出張した。
破局した。
退職した。
自由になった!
バイクの免許を取った。バイクを買った。
パーマをかけてみた。
国家資格を取った! 役に立たなかった!
マネーリテラシーを学び始めた。
株式投資を始めた。
文字を連ね続けた。変わらず、十年、小説を書き続けた。
あゝ、くだらない日々である。
そう。実にくだらねえ日常に戻れたのだ。
顔も、名も知らない人々のおかげで。
それを『変化』と言い張れること自体が、大きな変化なのだろう。
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