――3.11
私にとっての大震災
常陸乃家であれを経験したのは、今でこそ私と母のみである。
祖母は百二歳のクリスマスに旅立った。老衰だ。
様々な言い様を胸奥に秘め、迎えた十年目。
――2021年02月13日 23時08分
眠りかけていた記憶をひっぺ返したのは、変わらぬ大震だった。
私は自宅の書斎で、スタンディングデスクの前に立ち、ノートパソコンに向かってちょうどこの執筆をしていた時だった。
寝ているはずの時間に母から連絡が来たものだから、胸が嫌な感じになった。夜、身内からの電話なんて、十中八九『訃報』なのだから。ついにピースケが死んでしまったのかと思いつつ電話に出ると、
『ちょっと! 今、大きな地震があったんだけど! いやあビックリしたあ!』
あの瞬間を模すようなパニックに、まず私の全身に鳥肌が立った。書斎から居間へ移動し、youtubeで被害状況を確認し、状況を知った。
十年経った今回も、友人のMくんは相変わらずで、地震が起きてもどこ吹く風――翌日の仕事に備えて、ぐっすり寝ていたようだ。
十年経って、ようやく気付いたことがある。
私にとっての大震災は、一撃必殺のハードパンチではなく、後々に効いてくる毒のデバフのようなものである、と。この先――近い将来に訪れる、負債以外の何物でもない実家の処理を考えると胃が痛い。
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