あれから

出張先の知らない土地に吹く二月の冷たい風は、今の僕の心情に重なっていた。

孤独で悲壮感に襲われ死にたくもなり、心臓が締め付けられるように痛みがひろがり、涙がこぼれる。

あれから何を見てきただろう。失敗ばかりで、他人の足を引っ張るような光景しか思い出せない。視界に映る人間の表情はどれも「役立たず」を訴えていた。

こんな自分が嫌いだ。

歩いてきた道は、どれも悲劇しかなかった。幸せは見付からなかった。

あったとしても誰かに拾われるか、僕には手に取ることの出来ない場所にあるからだ。

幸せはどこにでもあるが、誰にでも手に入るモノではないのだ。

世間は「幸せとは、お前のような考え方をする怪物から離れていく。お前には贅沢なのだから」と警告する。

つらいな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る