クビの皮一枚

「硝子君が頑張ってる雰囲気さえなければ、今すぐにでもクビに出来るのになぁ......」

店長はため息混じりで僕に言った。

涙を必死に堪えながらも、業務を行おうとするが心は限界だった。

言葉は私の建前をすり抜けるように本音をぶつけた。

「私は頑張ってないです」

頑張っていたなら、仕事でミスを犯さない。

店長も他の社員も嫌な顔をするはずがない。

こんな事になってるのは、私が頑張っていない証明なのだ。


なのに、どうしてだろう。

私は涙が溢れるほどに、悲しいのだろう。

必死に頑張ってるのに、結果は最悪だから?

報われないから?

認められないから?

「硝子君が頑張ってる雰囲気さえなければ......」

店長の言葉は僕を壊すのに十分だった。

だけど、壊さない。

僕はどちらでもない境界で苦しみ続けるのだ。

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