江戸っ子バーガー



(二人コント、または落語調でお読みください。  *:お昼時に来店した、ファストフードのお客さんです)



 ある日、都心のとある町に新規開店したハンバーガーショップでのお話です。某外資系ハンバーガーショップを想像して入店してみると、ちょっと勝手が違うようです、、、


「へい、いらっしゃい!江戸っ子バーガーへ、ようこそ! ご注文は何にしやしょ?」


*「え、ここってそういうお店なの?」


「ええ、江戸っ子バーガーっていう、粋なお店ですぜ!で、何にしやしょ?」


*「そうなんだ、変わったお店だねー。さすが、行列ができてるだけの事はあるね。でだ、何にしようかなー。うーん、、」


「何?」


*「うーん、、、」


「てやんでぃ、お客さん!メニュー決めてないの?それくらい、並んでる時に決めとけっちゅーの!」


*「え、言うねー。でもね、、、」


「早くしろよー、お客さん!後ろ、詰まってんだろ!今、昼時だよ!」


*「そりゃあ、すみませんねー。この照り焼きミックスバーガーって、何ですか?」


「おう、お客さん、良い所に目を付けたね!こちらは今朝、豊洲に入荷したばっかりの、新鮮な牛肉を捌いて作ったハンバーグを、特製のたれで味付けした照り焼きのハンバーグに目玉焼きとベーコン、レタスを挟んだバーガーになりますぜ!」


*「ソースは何味なんですか?」


「そりゃ、照り焼きっていえば甘い醤油味だろ!それにちょいとマヨネーズが入ってるんだね!本来なら、熱々の特製ハンバーグに野田か銚子の生醤油をジャーって掛けて、ハフハフ言いながら食べるのが粋ってもんだけど、まあ砂糖の入った照り焼きで勘弁してやらー!」


*「そうだねー。うーん、、、」


「え、まだ決まんないのかい、お客さん!もう、味なんかどうでもいいだろ!食べれば一緒だよ!」


*「そんな乱暴な、、 これマヨネーズが入ってるんじゃあ、だめだなー、、、」


「そうなのかい?マヨネーズ抜きにする事もできますぜ?」


*「そうかー。うーん、、、」


「もう、いい加減決めてくれよー、お客さん!」


*「そう言われてもー」


「もう、後ろのお客さんがしびれを切らして帰っちまいそうだよ!」


*「でもねー」


「デモもストライキも無いっちゅうの!」


*「そーだねー」


「ソーダもコーラも売るほどあるから!」


*「それでだ、、、、」


『このー!おまえはこんなお昼の時間に何やってんだっちゅうの!どれでもいいよ!決めろ!』


*「じゃあ、ハンバーガーにしようかなー」


「ハンバーガー、1つですかい?」


*「でもなー、、」


「どっちなんだよ!これだけ時間掛けて結局、ハンバーガー 1個かい!」


*「やっぱりハンバーガーじゃあ足りないから、ビッグサンドにしよう」


「はいよ、ビッグサンド、1つね」


*「あ!」


「何だよ、お客さん!」


*「ビッグサンドって、何味?」


「タルタルソースって洋風の粋な味だね!」


*「え、大丈夫かなー、タルタルソース?」


「何だよそれ、知らないよー」


*「どうしようかなー」


「お客さん、もう決めてくんねえと後ろのお客さんたちが怒って茹蛸みたいになってるよ、、、」


*「でも、もしタルタルソースを食べて気持ち悪くなっちゃうと困るし、、、」


「そんなの気持ち悪くなったら裏の方で吐いちまえばいいだろー!」


*「そんな事できませんよー。じゃあ、照り焼きミックスバーガーをマヨネーズ抜きで!」


「おい!さっきのビッグサンドのくだりはなんだったんだよ!」


*「えー、そう言われても、、食べられないものは仕方ないですよ、、」


「全くもう、、しょうがねーなー。で、飲み物は?」


*「さて。うーん、、、」


「もういい加減にしてくれよ!」


*「そう言われてもね、、」


「やいやい!そんなにのんびり注文されたらうちの新鮮なハンバーガーが腐っちまうってもんだ!とっととお買い上げ頂いて帰ってくんな!」


*「、、、そこは『買わなくていいから帰れ!』じゃないんだね」


*「へい、そこはこっちとらも商売ですから、、早めのお買い上げをお願いしまーす!」


(お後が宜しいようで、、)



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