第17話 恋人としての朝

 現在時刻8時10分。気持ちの良い寝覚めとは言えないが、いつもどおりの時間に起きた僕は

 顔を洗い。歯磨きを済ませてリビングへ向かう。


「おはよう〜!ダーリン♪」


「おはようハニー」


「朝ごはんもう少しで出来るから、2人ともちょと待っててね」


「わかった。

 …………ってちょっと待て!!!」


「どうかしました?マイダーリン」


「なんで当然のように我が家の食卓に座ってるんだ?」


「覚えてないんですか?」


「……え?」


「昨日の晩私は煌星くんと愛を確かめ合い、共に初めての夜を迎えたのに。ぐすん、ぐすん」


「?!?!初めての夜を」


「そこだけちゃんと反応するなんて、煌星くんも男の子なんですね」


「僕もまあ男の子だからな…!!」


「…………………………………」


「………ちょと引いた目で僕を見るな」


「ソンナコトナイヨ」


「カタコトやめろ??」


「ふふ……冗談ですよ、昨日の約束を忘れたのかと思って」


「あぁ、付き合うんだよな。形だけな」


「形だけなんて…煌星きらぼしくんひどい!!」


「2人ともなんの話ししてるの〜?楽しそうね」


「お母様〜!私煌星きらぼしくんに遊ばれたんです。ぐすん、ぐすん」


「ほんとに!?…うちの息子がごめんなさいね。よしよし」


「……あなた分かってるわよね?」


 いつもからは考えられない、ドスの聞いた声で母親は僕にそう忠告する。


「だから誤解だって!!お母様」


「これ以上百合ちゃんに酷いことをしたら、バラすわよ?」


 この時僕の脳内には走馬灯のように、今までの出来事が走った。部屋の本棚に隠している「金髪少女のあれこれ♡今夜は全部見せちゃいます」の存在まで流石に知られたくはない。それとも子供の頃の僕の恥ずかしい過去か?なにしろ僕の母親だけあって掘り返すとキリがないほどネタがある。


「…大変申し訳ございませんお母様!!僕は今後一切過ちを犯しません」


「謝る相手は私じゃないわよね?」


(僕は何もしていないのになぜ謝らなきゃいけないんだ)


「今。なんか言った?」


 おかしいな…………今心の中で言ったはずなのに。僕の母親はいつからここが読めるようになったんだ?


「ひぃ、ごめんなさい」


「今まで申し訳なかった、僕は君に永遠の愛を違うよ百合」


「永遠の愛を?」


「あぁ」


「ありがとうごばいます!!私も大好きです煌星きらぼしくん」


「なにか誤解をしているようだな重いぞ……離れろ!」


 ドキドキしたのはきっと抱きつかれたのが、いきなりだったからだろう。うんきっとそうだ。




「お母様!!今私プロポーズされちゃいました♪これで千絵さんとほんとの親子になれますね」


「ええ、百合ちゃん。あなたはもう今日から私の娘ね」


 ………っていう感じで。僕を置いてイチャイチャしだした。


 状況がはちゃめちゃすぎて僕はそこで思考を放棄した。

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