第16話 お願い事、本題
「…………で?結局なにを言いたいんだ?」
何やら嫌な予感がしたので、僕は気がついていないふりをする。
「も〜!煌星くんほんとに察しが悪いですね。……付き合って欲しいの」
「いいぞいいぞ〜どこに行きたいんだ??特別に僕が案内してあげよう!」
「その付き合ってじゃありません!!煌星くんとお出かけできるのは素敵だけど、私が言いたいのは男女の付き合いなの!!」
「おぉ!!そんなに僕と友情を深めたいのか、お望みどうり男と女同士の友情を深めようじゃないか。で、百合はどこに行きたいんだ?」
「定番に遊園地、水族館か。うーん、一緒にお洋服を選びにいくのも憧れてたし。煌星くんと図書館巡りをするのも素敵だな〜!」
「――――って違います!!ついつい流されそうになったけど。私が言いたいのは好きあっている男女がイチャイチャしたりする、あのお付き合いです」
「僕は別に。きみを恋愛的に好きなわけじゃないし??付き合えないな!!うん。じゃあ、そういうことで」
「颯爽と立ち去ろうとしないでください。忘れたんですか?私にはこれがあるんですよ、その気になれば斎藤先生に証言してもらい、いつでもこれを校内放送で流してあげることも可能なんですよ♡」
「……それは」
「はい、ポチ」
百合の手にはボイスレコーダーが立ち上がってるケータイ。なにやら身に覚えある光景が目の前に広がっていた。
「……じゃあ今でも私のこと好き?」
「…………………………好きだよ。」
「私お願いがあるの。聞いてくれる?」
「聞くよ、僕に出来ることなら何でもする。」
「ほらぁ〜!!この時の煌星くん私を好きだって、ハッキリ言ってるよ?ほらほら〜観念してください☆」
「バカだな君は!!恋愛的に好きだなんて一言も言ってないぞぼく」
「ほお。まだ言いますか……そうですか。では仕方ないですね、早速斎藤先生に連絡して襲われたと報告しましょう」
「すみませんでしたー!!!!!!」
僕は観念して、ジャンピング土下座をかました。
「付き合ってくれるね?」
「はい!!喜んで!!!」
「では。明日からよろしくお願いしますね。彼氏くん!」
「よろしくお願いします!!!」
とっさに体育会系の男子ばりの声量がでた、ぼくってこんなに声を張れたんだな。新たな発見だ!
――――ってちょとまてよ?
僕百合と付き合うことになったのか。いくらラブコメにしても展開はやくない?!本当にこれでよかったのか?!?………脅されて付き合うとか聞いた事ないぞ。
そんな不安を抱えながら、僕と百合は恋人同士(仮)になったのであった。
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