第13話 放課後、お願い事
何事もなく5、6、7限目も無事終わり、放課後。
百合は相変わらず、女子グループに囲まれていた。
「ねね、湊月さん今日みんなで新しく出来た駅前のカフェにいって勉強会しない?」
「おっ!いいね。行きたい、百合今日予定ある?」
「勉強会いいですね!でも……」
その様子を横目に見ながら、僕はそそくさと帰る準備をして教室を出ようとして―――
「ふふ、どこに行こうとしているのかな?衛宮くん」
「いや……。普通に帰ろうとしただけだけど」
「私たち今日帰る約束をしていたのに。先に帰っちゃうなんて、ひどいです…」
「え?」
「ということなんです、ごめんなさい。今日は衛宮くんとの約束があるので勉強会はまた今度でもいいですか?」
「う、うん」
その様子をあっけらんとみていた女子5人は、まともに返事をする間もないまま押し切られていた。
「いいのか?断って」
「勉強会なんて、いつでも出来ますから。それより、煌星くんとの約束の方が大事です」
「そんな約束をした覚えはないが?!?!」
「何を言ってるんですか?朝のどっちが早く学校つけるか勝負私が勝ったじゃないですか」
「あぁ…てことはお願い事は一緒に帰るということか?」
「私がなんでもお願い事聞いてもらえる権利を、一緒に帰ることにすると思います?」
「いや。……思わない」
「でしょ?お願い事は煌星くんのお部屋でたっぷりと聞いてもらうつもりなので。さっさと帰りましょう!」
「はぁ〜〜〜〜。言っとくけど一つだけだからな?というか部屋にくるなんて聞いてないぞ」
「……別に私の部屋でもいいですけど」
「………………」
正直百合の部屋にはとても興味がわくが、昨日の放課後の記憶が蘇る。完全に2人切りになったら、きっと彼女はまた何かしら仕掛けて来そうだ。お願い事がなんなのか分からない状態だし、まだ常に母親が家にいる僕の家の方がましだろう。
「いや。うちでいい」
「さては。またえっちなことをされるんじゃないかって期待しちゃいました?丁度千絵さんに用事もあるので。今回は、私としても煌星くんの家の方が助かります」
「…ニヤニヤするな、帰るぞ」
今回ということは、次回は百合の部屋に2人きりになったりするんだろうか?
そんな淡い期待と不安が入り交じった状態で、僕は百合と並んで帰路につく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます