第10話 登校イベント③
「そろそろ、行くか?」
僕はそう言いかろうじてポケットに入れていた、ティッシュを差し出す。
「…うん。ありがとう」
「
「おう、やっと僕の魅力に気づいたか」
「そうだね〜。1μm《ミクロン》くらいはかっこいいと認めてあげてもいいよ」
「めちゃくちゃ微妙な単位だな!!」
「褒めてるんだから素直に喜べばいいのに」
「だったらお前も素直に褒めろ」
「え〜こんな美少女に褒められるだけ、ありがたいと思って欲しいな」
「そう思って欲しいなら、ありがたられるだけの事をしろ」
「…私が息を吸っているだけでありがたいと思え!」
「無茶を言うな」
「とゆうかお前、どんどん口調が馴れ馴れしくなってないか?」
「ふ〜ん、煌星くんは敬語の方が好きなんですね。ふ〜ん」
「……別に。そういうわけではない」
(むしろこのままでいて欲しい)
「ただ年下が好きなだけなんですよね〜。分かってますよ」
「違う。というか……誰に聞いた」
「ベッドの下にあった、薄い本の傾向から察知しました♪本当に煌星くんはえっちな物が好きなんですね〜♡」
「やっぱり、お前その喋り方鬱陶しいから普通に喋れ!」
「考えといてあげます」
本当はこのままタメで話して貰う約束を取り付けるつもりだったが、……逆効果だったかもな。
「ところで
「あぁ。最悪だ」
「誰のせいだと思ってるんですか?」
「……どう考えても貴方のせいでは、?」
「とりあえず、入りましょうか」
「あぁ。」
そう、僕は百合をどうやって泣き止ませるかに気を取られていて。僕と百合のやり取りを盗み見ていたクラスの男女数人と、一限目を知らせるチャイムがすでに鳴り終わっていたことに気づきもしなかった。
今日の一限目は気難しさで有名な世界史の教師だ。僕らが戻ってきたことに気づき、何人かひそひそと話しているのがドアの外からでも伺えた。
「俺の授業に2人揃って堂々と遅刻するとは。いいご身分だな」
「………すみません」
「先生、私が衛宮くんを付き合わせてしまったんです。授業に遅れてしまい申し訳ありません」
「普段真面目な湊月がそこまで言うなら、今日は勘弁してやる。以後気よつけろよ」
「はい、ありがとうございます。」
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