第6話 夜ご飯
百合と別れ、廊下を進み僕が住んでいる506号室の鍵をあけた。
「ただいまー」
「お、か、え、り♡待ってたわよ!!」
「…なんだよ」
母は物言いたげな視線をこっちに送っている。わかっている、あれだな。あの金髪やろうについてだな??
僕と母の間に何時間にも感じられる沈黙が…………
「ヤッた?」
「あほかぁぁぁああ!!!んなわけねぇだろ!!!!」
予想の斜め上の返答が飛んできた。
「あらそうなの?百合ちゃんが色仕掛けでいくっていうからってきり〜」
「流石に色々飛ばしすぎだろ!!」
だから胸ね…なるほどね………?!確かに男の子的反応をしかけたが?ちょと一瞬喜んじゃったけど?あの後のことを考えるとそんな気もおきねぇよ。
「まあいいわ〜!うちの息子ながらそんな度胸ないのは知ってるし、今日はいっぱい美味しいもの作ったから百合ちゃんがくるまで手洗って待ってて。」
「………わかった」
なにか余計なことを言われた気がするがめんどくさいからほっとこう、うん。
◇◇◆◆◇◇
「おじゃまします。」
あれから20分経った頃、彼女はやってきた。
腰まである長くてふわふわな髪は後ろで一つにまとめられていて、服装も普段の制服からひらひらしている薄ピンクのワンピースに変わっていた。
「着替えてきたのね、かわいい〜♡どうぞ遠慮せずに自分のうちだと思ってくつろいでね」
「ありがとうございます!」
百合はどこかの国のお姫様かと錯覚するようなきれいな所作で一礼し、母は台所に戻り料理の続きをしている、どうやらもう少しかかるらしい。
「煌星くん…!この服最近買ってばかりなんですけど……似合ってますか…?」
なんだその好きな人に一生懸命勇気をだして聞いた感じ……?!
急にしおらしくなるな、ときめくだろ………!!
「……………かわいいよ、似合ってる。」
母に先に言われた感じが半端ないけど僕は勇気を出し言った。
「ですよね!!私に似合わない服なんてあるわけがない〜☆ときめいた…??ときめいちゃった??」
「……うぜえ」
つい口から出てしまった。
「うざいってひどくないですか?!さっきまで私に見とれてたくせに!」
「別に………見とれてない、もん!」
「うわ、きも…………」
………地味に傷ついた。
「2人ともおいで、ご飯できたわよー!!」
そんなやり取りを経てようやく訪れたご飯の時間。
食卓の上にはオムライスにハンバーグ、唐揚げにコロッケとなんとも子供が好きそうなメニューばかり
ごちそうってこれか………。
一体母は僕達を何歳だと思っているんだろう。
「わぁ………!!美味しそうなものばかり!!」
「ふふ、喜んでくれたならうれしいわ。いっぱいたべてね」
正直僕には見ているだけで胃もたれしそうなメニューだったが。百合は食べたかったものはこれだというばかりに喜んでいた。
「「「いただきます」」」
彼女は一つ一つの料理をゆっくりと噛み締めるように終始幸せそうに食べていた。
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