第4話 下校イベント①
「ところで、お前……身長伸びたな」
帰宅途中、隣に並んで歩いている百合を見ながらしみじみ思う。くやしいが僕と同じくらいだ。
「でしょー!おまけにモデル顔負けのスタイルと美貌、頭がいいだけじゃなく運動もできるなんて。完璧すぎてますます惚れそうだぜって?ありがとうございます。」
「いや、そこまで言ってねぇよ……。あと別に惚れてない」
「さっきは、私の事が大好きとか言っときながら?」
「大は余計だ余計」
「……なんか、私への態度が急に投げやりになってません?」
「気のせいじゃないか?お前もよく喋るな」
「むう…お前じゃなくてさっきみたいに名前で読んでください。」
ふぐみたいにぷくーと頬を膨らませてる、不機嫌そうな顔だ。
「………わかったよ、百合」
「よろしい」
「さっきのお願い事なんですけど、聞いてくれますか?」
百合は先程の少しふざけた表情と打って変わって真剣な顔になった、僕は真面目な空気に息を飲む。
「あぁ。聞くよ」
「私と、友達になってください」
どんなお願い事をざれるかとひやひやしていた分僕にとっては拍子抜けだった。
百合は出会った時みたいに今度は彼女から手を差し出している、……こんなの僕が断るはずがない。
「そんなことでいいなら、喜んで」
僕はあの時と変わらない陶器みたいに白い手が壊れないように優しく握った。
「明日から改めてよろしくお願いしますね、きらぼしくん☆」
「せめて、学校では苗字で読んでくれないか?」
「えーーこんなにかっこいい名前なのに?」
「……恥ずかしいからやめてくれ」
「まあ〜考えといてあげます」
「是非前向きに検討してください」
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