第3話 夕暮れの教室で、二人
「寄りたい所があるので、教室で少し待ってください」
そう言われ大人しく教室で待っているうちにクラスメイトは一人、二人と帰っていく。
湊月さんは最後一人が帰ったあと、タイミングを見計らったかのように戻ってきた。
「……なんであの時人違いだって言ったの?」
「ん、今なんて?」
近くに寄らないと聞こるか聞こえないかくらいの声量。
「だ、か、ら、なんで人違いだなんて言ったの?私が《きらぼし》くんを間違えるわけが無いでしょ!私は《あの時の約束》をずっと支えにしてたから今までやってこれた。わざわざ親に頼みこんで学校を特定してあなたにまた会うためだけに1人で日本に戻って来たのに、人違いじゃないかはひどくない?!こんなに期間あったのにあの後一度も話しかけてこないし……。」
「それとも――――本当に私のこと忘れちゃったの? 」
夕暮れの教室で女神か天使か錯覚してしまうような女の子は、透き通る海みたいに青い目に涙を浮かばせながら。
今度は教室全体に響く声量でまくしたてるように喋っている。
……学校を特定したなどという、やばめな言葉をきいたきがするが。きっと気のせいだろう。うん。
僕は制服のえりを捕まれ一歩一歩と壁際に追いやられていて―――――ドンという効果音。
世にいう壁ドンをされていた。
気づけば《湊月さん》の顔は目と鼻の先近くまで近づいていていた、心臓は自然と早鐘を打つ。
僕なんかにここまで真剣に向き合ってくれたんだ、僕も正直に答えなければ……。
「覚えているよ、《百合》と過ごした日々も思い出も今でもちゃんと僕にとって大切なものだ。でも僕は約束を守れなかった。あの時のままでは居られなかったんだ」
「……じゃあ今でも私のこと好き?」
「………………………好きだよ。」
「私お願いがあるの。聞いてくれる?」
「聞くよ、僕に出来ることなら何でもする。」
「良かった、言質は取ったからね。」
「……ん?」
百合の手にはスマホのボイスレコーダーが立ち上がってた、再生ボタンをポチ。
「……じゃあ今でも私のこと好き?」
「…………………………好きだよ。」
「私お願いがあるの。聞いてくれる?」
「聞くよ、僕に出来ることなら何でもする。」
って、「や〜〜め〜〜ろ〜〜!」
「ふふふ……消させません!」
「ついでに《既成事実》も作っておきましょうか。」
スマホを奪おうとした僕の手を掴んでそのまま彼女の大きく実ったおっぱいへ…。(ふに、ふにふに)
「お、おまえなにして?!」
良かったぁぁああ……今周りに誰もいなくてほんとに良かったぁぁぁあ。傍から見ると僕が百合を襲っているかのように見えよう、間違えてもイチャイチャしているようには見えない。何せ見た目からして釣り合いが取れていないからだ。
「あらあら〜〜♪先生鍵を閉めておこうとおもったんだけど。おじゃまだったかしら?」
測ったかのようなタイミングで先生登場、さてはお前らグルだな??そうだろう??
「既成事実です〜♡さっきの約束守ってくれなかったら先生に襲われたって報告しますよ。」と耳元でささやかれた。
気づけば外はすっかり暗くなっている。
「とりあえず、帰りましょ?」
「あぁ。」
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