第1話 転校生が抱きついてきた
この世に永遠や絶対はなく、無償の愛は存在しないそれに気づいたのはいつの頃だろう。
友達も恋人も底にあるのは限りない損得感情、もらったものは当たり前のように返さなきゃいけないし、それを怠ると人は自然と離れていく。
どうせ薄っぺらい関係なら友達も恋人も僕には必要ない。
「今日は転校生が来ますよぉ〜♪」
朝のホームルーム、頭に花を咲かせていそうな担任の気の抜けるような声と共に教室がざわざわと騒がしくなり、がらっと教室のドアが開かれた。
「それでは自己紹介をしてください〜♪」
そこに現れたのはまるで女神か天使か、この世に実際に存在していたんだと感動してしまう風貌と万人受けしそうな満面の笑みを浮かべている女の子。
「初めまして!湊月百合です、1ヶ月前までイギリスに住んでいました。日本に帰ってきてばかりで慣れない点も多いですが仲良くして頂けると嬉しいです。」
…………ん?気のせいかもしれんが僕の方を見て話しているような、それにどこか見覚えのある顔と名前。
「では湊月さんの席は空いている窓際の1番後ろね〜!丁度衛宮くんが隣だから色々面倒見てあげてね♪」
周りからの羨望の視線(主に男)に、うわめんどくさいな……と思いつつ。どうせ今日1日教科書を見せるくらいだろと思っていたら、突然目の前に女の子らしい石鹸の香り共に服越しでも伝わる柔らかくたわわに実ったおっぱいの感触が飛び込んできた。
……どうやら僕は抱きつかれているらしい。
「会いたかった………!!!煌星くんだよね!?私のことわかる??」
その時フラッシュバックした初恋の記憶、あぁ…あの子なんだなと自然に思った。同時に周りからの「何あの2人知り合い?」「というかあの男だれ?」といった突き刺さる視線が痛い頼むからこっちを見ないでくれ、僕は静かな高校生ライフをおくりたいんだ…!!!
「し、知らない………初めましてですよね?人違いでは?」
突然女神のような美少女に抱きつかれた混乱と周りの突き刺さるような視線から僕はついそう答えてしまった。
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