第3話女流作家担当
未来は、オフィスでまだ若干、十五歳作家のインタビューを纏めていると
「悪いな、西川先生取っちゃって。」
と女流作家担当の長谷川隼に頭を優しく触られながら耳元で言われた。
「いえいえ、長谷川さんに、ご迷惑をかけてすみません。」
と未来は、謝った。
「可愛い後輩のためだし、女流作家たらしでは俺は、有名だろ?」
「そんな事ないですよ。みんな尊敬してます。」
そう隼は、甘いルックスで女流作家をたらしこんでは締切はきっちり守らせる事と女に手が早い事で有名だった。
「松本!手が止まってるぞ!」
と礼二から未来は注意された。
「おお、こわ!」
と呟いて隼は未来から離れて喫煙室に消えた。
正直、未来は隼が苦手だった。礼二が注意してくれてほっとした。
仕事を終えると隼にメシ行こと言われて断る暇もなく手を引っ張られてイタリアレストランに連れて行かれた。
「どんどん、頼んで。俺の奢りだから。」
「いえ、奢りだなんて…。」
ワイン一杯で酔ってしまう、未来はお酒が飲めない。
しかし、隼のすすめてくれたお酒を断る事も出来ずに未来は赤ワインを飲んだ。
視界はボヤけて隼の話してる事も分からないぐらいフラフラに酔ってしまった。
隼に、肩を借りて歩くのがやっとだった。
店の外に出ると未来の酔いは覚めてきた。
隼は、強引に未来をホテルに連れ込もうとした。
「長谷川さん!止めて下さい!」
「いつから、そんな重たい女になった訳?」
と隼は言いながら未来の手を引っ張った。
「やめろ!」
と声がして隼は未来の手を離した。
礼二が、隼を殴った。
「見苦しいぞ、長谷川。」
冷たい目をして礼二は隼を睨んでいる。
隼は。悔しそうな顔をして立ち去った。
「上野さん…。」
やっとの思いで未来は声を出した。
「松本…お前は仕事も出来ないのに男をたらしこむのは上手いみたいだな、ん?」
「…。」
未来は急に震え始めた。
「怖かったか?」
と礼二は、震えている未来を一瞥して聞いた。
「こ、怖かったです。」
未来は涙を流した。
礼二は、タクシーを停めて未来を乗せるとじゃあなと言って姿を消した。
未来は、遠くなっていく礼二の背中をタクシーが発進しても見つめていた。
未来は、ボロアパートの出前でタクシーを降りた。
アパートの扉の前に、二宮理恵がうつむきながら立っていた。
翼との一件を聞いてからは連絡しずらくてメールも返信していなかった。
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