美味しいものは、美味しくいただきます。

日課

　いつものように、朝ごはんを食べるために、会社の駅より一つ前の駅を降りて、駅構内にある店『セスィボン』にためらいもなく、入っていく。

「いらっしゃいませ」

いつもの笑顔で、幸さんが迎えてくれた。

「日替わりのモーニングセットをお願いします。」

「今日は、和食だけどいい？」

「そんなんですか。楽しみです」

「そう」

はにかむ笑顔も、朝から見れて最高だ。厨房に注文を通しに行く姿を眺めてしまっていた。

「お待たせしました。」

すべての料理が載せられているお盆が、目の前に置いてくれた。

「今日は、レンコン入りの鶏つくねだよ。これほんと、旦那の力作だから美味しく食べてね」

レンコンのシャキシャキした食感に、口の中に広がる。会社に行く前に、カフェで朝ごはんを楽しむことが日課になってきた。

　鶏つくねの中に入っているレンコンの歯ごたえがたまらなく美味しい。添えられている温野菜のニンジンとブロッコリーが、健康な身体にしてくれそうだ。底まで透き通ったコンソメスープにスプーンで、掬い上げた口の中に入れると、中に入っている玉ねぎのほんのり甘い香りがあいまって、さらに広がっていく。　

　何でだろう。この玄米が美味しくてたまらない。誰にも邪魔されないこの空間が今日、一日の始まりを爽やかに迎えてくれる。

ただ、幸さんが独身だったら、更に最高だったのに。