「えっ！？食べてくれるんですか！？」

　俺の手元にあるハート型の箱、それに入れられたチョコをくれた可愛い女の子は瞳を輝かせてそう言った。

　その女の子はゾンビちゃんだ。

　瞳孔が完全に開き切った瞳を輝かせているその女の子は生きていない。

　死んだ後で再び動き出した女の子、それがゾンビちゃん。

　ゾンビちゃんの瞳は瞳孔が完全に開き、全く変化することはない。

　その瞳を輝かせて俺を見つめるゾンビちゃんは嬉しそうだった。

　ゾンビちゃんの瞳は俺に対して早く食べて欲しいという視線を送っていた。

　俺はゾンビちゃんの期待の眼差しと周囲のみんなの期待の眼差しに全身を突かれた。

　そして、俺はラッピングの下から出てきたハート型の箱、所々に赤黒いシミが付着したその箱の蓋を開けた。

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