第3話「女の子の死体」

「やっぱり、嫌ですよね…私みたいなブスからのチョコレイトなんて…臭いし…それ、捨ててください…」


 そう言った女の子は可愛かった。

 美少女で性格もよくて近所でも評判の女の子、それが目の前にいるゾンビちゃんだ。

 ただ、誰が見ても可愛いゾンビちゃんの身体は死んでいる。

 死んだのに動き出した人間の死体、動く美少女の死体、それがゾンビちゃん。

 チョコレートをチョコレイトと発音する可愛い女の子は決してブスではなかった。

 ゾンビちゃんは俺の人生で出会った女の子の中でも一番可愛く、一番いい子だった。

 俺の人生で初めて貰ったバレンタインチョコは、人生を終えた後に動き出した美少女の死体からの手作りチョコだった。

 俺は涙目になっているゾンビちゃんと周囲の批難の視線に耐えられず、その場で箱を開封した。


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