第2話「死人の女の子」

「返事はいりません!ただ、食べてもらえればそれで良いんです!」


 その声は教室中に響き渡った。

 クラスメイトの男達は俺に対して茶化す様な言葉を投げ掛け、女達はそれを言った子に向けて本当に俺で良いのかと言う言葉を発していた。

 俺は初めてのバレンタインチョコを受け取って嬉しい反面、複雑だった。

 その理由は目の前にいる可愛い女の子、ゾンビちゃんの生態にあった。

 目の前にいる美少女ゾンビちゃんは、一度死んでから再び動き出した人間だった。

 つまり、ゾンビちゃんは死人であり、ゾンビちゃんは動く死体なのだ。

 俺は死人であり、死体でもあるゾンビちゃんに人生初のバレンタインチョコを貰った。

 俺は綺麗にラッピングされたそのチョコを、ハート型の箱に入れられているそのチョコをどうすれば良いのかわからなかった。

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