第24話 三章◇ありがちな最強の聖霊と聖獣 01
「まぁ! 五柱神すべてとお会いしたの!?」
カシャン! と両手に持っていた食器を落とすお母様。
慌てたメイドがワタワタと落ちたカトラリーを拾い、リリアナがさっと新しいものをテーブルに寄せる。慌てたメイドに向けて冷たく厳しい視線を向けるリリアナだが、許してあげてほしい。
なんて言ったって、お母様が食器を落とすことなんて普段あり得ないことで、さらにその子は明らかに見覚えのない新人なのだから……。
「うん……私もとってもびっくりしたわ。まさか、五柱神と一度に対面するなんて……。」
「それはそうだろうね……。なるほど、それであんなに疲れていたのか。」
お父様は合点がいったと深く頷いていた。
動揺がいまだに収まらないお母様は、まぁ、どうしましょう、なんてことなのと小さく呟き続けている。
「私もエーテルコラ様とはお会いしたことがあるけれど、まさかそんな、全ての方とだなんて……。」
震える手を擦り合わせるお母様。
お父様も珍しく動揺が隠せないようで、顎に手を当てたり首に手を当てたりと忙しい。
「お父様とお母様には、ちゃんと正直に話しておこうと思ったの。」
私はそういって二人の注目を誘った。
実は食事をする前まで、ずっと頭の片隅で考えていた。父と母にどこまで話したものか、と。
全てを話すには、あまりにも複雑で重い。自分一人でも抱えるのが精一杯の他人の人生を、両親にまで話す必要はないだろうと。
とはいえ、何も話さずただ天使の加護をもらったことにするのも、後々面倒を呼びそうな予感がした。ええそう、これがフラグってやつよね──なんて、遠い目をしながらお風呂に浸かっていてルナに心配されたのだけれど。
だから、正直に──あったことを、少しだけ省いて説明しようと、そう思った。
「あのね──」
そうして話し出したのは、前世のこと。前世が神様の影響を受けたことで早死にしてしまったから、そのことについての話をされた──という、嘘ではないが肝心なことはぼかした言い方で、拙いながらも両親へと説明した。
だから、本来の『神の祝福』と違い永い時間がかかったこと。神様からの説明があったこと。そして、天使・ライトニングから最上の加護を授かったこと。
「アリスちゃんも、なのね……」
ライトニングからの加護を授かったと聞き、お母様はため息をついた。
そう、これで今、メルディロード家直系の本家である我が家全員が、ライトニングから加護を授かったことになったのだ。
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