ちょっと話があるんだけど
第10話 肩を叩いた
川畑は普段の数十倍の時間を掛けて予備の服に着替えると、小刻みに震える手でスマホを取り出し時間を確認した。時刻は十二時半を回っていた。太陽が呑気に燦々と地上を照らしている。だがこの時間なら彼女は食堂にいると思った。
川畑は出来る限り心配を掛けないように彼女を安全な場所に連れて行こうと思った。どこが安全かはわからないが、人の少ないところであればあるほど安全なはずだ。
そして川畑は苦痛に耐えて姿勢を正し、穏やかな表情を作ってから多くの学生の喧騒が轟く食堂に入った。自我を失う前に俺もここから離れないとなとそれを見て川畑は思った。短期決戦だ。
予想通り彼女はいた。ここは危険だって言わないと。でも説明しても納得してもらえるだろうか。仕方ない、絵に描いたクズ男そのものになるがやり直せないかと言おう。そうしてどうにかよりを戻したところで、しっかりと全部説明しよう。そこまで考えてから彼女の元へとゆっくりと歩み寄った。足が大分重くなっている。もう時間は残されてないか。迷っている暇はない。
「優里ちゃん。ちょっと話があるんだけど……」
そうして川畑は、かつての恋人である
その後、川畑は大学からさほど離れていない小さな住宅街の中で自我を失い、彼女に殺された。
ちいさなせかいとおおきなカミサマ 夜々予肆 @NMW
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