第6話 おしまい

 やまざきをいきかえらせることにきめてから、いっしゅうかんがたちました。


 あれからさんにんは、それぞれがやらなければならないことをやりました。


 かわはたはこいびとにいっぽうてきにわかれをつげることになってしまいました。こいびとはたいへんショックをうけて、いまはいえでふさぎこんでしまっています。もうしわけないことをしたとかわはたはおもいましたが、いまはもっとたいせつなことがあるからとじぶんにいいきかせました。そして、めのまえのやまざきのいたいをみつめました。


 とうとう、このときがきたかと、カミサマさんにんはおもいました。おおいしはこのけいかくがここにいるさんにんのカミサマいがいにばれないようにしていきました。ばれたらなにもかもがおしまいです。ですがもうひきかえすことはできません。おおいしは、しんこきゅうをしてから、いいました。


「実験開始だ」


 おおいしのそのひとことで、ほしかわはやまざきのいたいのうでに、ちゅうしゃばりをさして、ちょうろうのけつえきからつくったえきたいをやまざきにいれました。


「お願いです。起きて下さい!」


 ほしかわがやまざきにうったえました。ほかのふたりも、たのむ、おきてくれとつづきました。


 しばらくしてやまざきは、めをさましました。


 じっけんは、せいこうしました。


 それはつまり、しんだネズミだけではなく、しんだカミサマもいきかえらせることができるということのしょうめいでした。


「山崎さんっ!」


 ほしかわがおきあがったやまざきにだきつきました。やまざきはくちもとにあったほしかわのくびもとをかみました。


「ちょ、痛いですよ山崎さん!」

「ごめん、つい、うっかり」

「まあ生き返ってくれてなによりだよ」

「お帰り、山崎」


 みんながかえってきたやまざきをあたたかくむかえました。ですがどうじに、よにんのあたまのなかにはこんなことがうかんでいました。


「我々はとんでもない事をしてしまった」


 それはじじつでした。しんだはずのカミサマがかってにいきかえってしまったのですから。もともとかなりきけんなことをやっていましたが、ここまでやってしまったらもうよにんはいっしょうおもてのせかいでいきることはできないとわかりました。


 ですがいまは、そんなことはきになりませんでした。


 なぜなら、たいせつななかまが、かえってきてくれたのですから。


 わるいことをしてしまったのかもしれない、だけど、まちがったことはやっていない。


 よにんは、そうおもいながら、むらのどうぶつたちとおなじように、たのしくわらいあいました。


 このおはなしは、これでおしまいです。












 楽しくてのほほんとした話は、これで終わりです。












 ここからは、ただありのままの現実を述べていく。


 翌日、山崎は姿を消した。蘇生して数時間経った後、激しい頭痛と吐き気を訴え下宿をしているアパートに戻ると言った。だが夜星川が見舞いのためアパートに来てみると中には誰もいなかった。星川はスマホで山崎に連絡を取ろうと試みたが、返信は来なかった。


 山崎博人やまざきひろとは死亡し蘇生した後、行方不明になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る