第14話 探索

「よし、涼素すずしろを探そう」


神様と結木に仕返しをしてやろう、という私の発案に、いちもにもなく乗ってきた治。


「そうこなくっちゃ!」


パチン、と手を叩いて笑うと、治もにいっとワイルドに笑った。


「じゃ、やっぱり兎にも角にも現状把握と自己把握だよね……私は猫耳と尻尾が生えたってことと、身体能力があり得ないほど上昇してるってことだけはわかってるんだけど──」


「俺は身長が高くなってるな、あと体が若干重い。多分、体重も増えてるな。他はまだ特にこれといって実感してることはねぇ」


「いや、ツノ生えてるじゃん……なんか、変な感じとかしないの?」


と治の額を指差すが、首を振られた。私のように感覚があるわけではないのだろう。


「じゃあ、私みたく身体能力の上昇とか……っていうか、随分遠いところで気配を感じたとか言ってなかった? 声が聞こえないレベルの遠くなんじゃ?」


「言われりゃ確かにそうだな。それが当たり前って感じで気配を察したからな……」


とりあえず水場に向かいたい、と言ったところ、治が先ほど通ったところに湖のような場所があるらしい。そこで、お互いに自分自身の能力を図りながら治がいたという森の外まで行ってみようということになった。


「そもそもさぁ……結木が言ってた神様が何人だとか種族がどうとか、情報が少なすぎるんだよねぇ……」


「まぁそれもそうだけどな、お前、異様に冷静だな?」


普通、猫耳生えてたらもっと動揺するもんじゃねぇの?という顔でこっちを見る治。

悪かったわね、元厨二病で!!という言葉は飲み込んで


「治も冷静じゃん」


と言ってみる。

私はもともと知識はあるからこそ、ある程度冷静っぽく立ち回れるし、そう見えるだろう。けれど、こういう状況をあまり知らない治がよく冷静でいられるものだ。

私の言葉にすんと鼻を鳴らした治が、元来た方に向かって歩き出した。


「そりゃ……女の前でドタバタだっせぇ格好はできねぇだろーが」


「うーわ、女も男もあんまし関係ない時代に生きてたくせに……」


「っ!? テメ、聞こえ……っ!?」


ばっと勢いよく振り返る治。

振り返る速度が速すぎるせいか、周囲の空気がブォンと風を切る音とともに震えた。


「あのさ、私猫の耳生えてんだよ?」


ぴろぴろと耳を動かしてみると、それをみた治が真っ赤な耳でうるせぇと呟いた。

ふむ、理不尽だ。


「んな小声が聞こえると思ってねえっての……」


「聞こえないフリでもした方が良かった?」


「……茉莉、やっぱお前性格悪ぃな」


──ガッ


「うおっ!?」


人がせっかく気を利かせてあげようって話を、こいつは。私は性格が悪いので、苛立ちをそのままぶつけてあげたよ?

足払い、というか膝カックンとしてね!

油断していたであろう治は、膝カックンの勢いそのままにひっくり返った。

ざまぁみろ、である。

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