第23話 姫、古の魔術師
「うーん。よく眠っていたのだわ。」
彼女は欠伸を一つして、高らかに言う。
「始めるのだわ。 復讐を!」
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私達は今、魔法の里に封印された古代の魔術師が眠る大きな洞穴に来ている。
イザベラが私達に忠告する。
「この扉の先に、例の魔術師が封印されている。」
「引き返すなら今の内だよ。」
彼女は俯き、呟く。
「私は、二人を危険に晒したくない。」
「何より、この試練は私に課せられたもので......」
ミレーナが両手でイザベラの口を抑える。
「それ以上は言っちゃあダメにゃ!」
「にゃたし達は仲間にゃ!」
「困ってるメンバーがいるのにゃら、手を差し伸べるのが当然!」
「当たり前にゃあ!!」
私もミレーナに同調する。
「そうよ! 3人で魔術師を倒しちゃいましょう!」
イザベラは私達を見つめ、言う。
「ありがとう。」
そして、扉に正対し、呪文を唱える。
扉が開いた。
私は感嘆を漏らす。
「大きい.....それに...」
「綺麗....」
その先には巨大な空間が広がっており、奥に彼女が封印されている柩があった。
イザベラは大きく息を吸い、両手に握り拳を作り叫ぶ。
「封印されし魔術師"エイダ"よ!」
「ガーデンベルクの名の下に今その結界を解く!」
「
数秒間、彼女の声が響き渡る。
私は息を上げている彼女に問う。
「.....ホントにこれで封印が解かれたの....?」
彼女は棺を凝視している。
「ねぇ、イザベ.....」
刹那。私は理解した。
疑問が杞憂だった事を。
空間をなしている岩石が紫色に光り、地面は真っ赤に染まった。
ミレーナは鼻を動かし、匂いを嗅ぐ。
「にゃにこれ...血!?」
血液らしき流動体が棺の中へと地面を伝い、注ぎ込まれる。
そして、突然の静けさが私達を襲う。
イザベラは尚も棺を注視している。
「んー。ふぁああ」
洞窟内に欠伸が響く。
(誰!?)
私はイザベラとミレーナを見る。
イザベラの頬に汗が流れている。
ミレーナは震えて、猫耳を抑えている。
棺が大破し、洞窟内に土煙が蔓延する。
煙が晴れ、壊されたそれを見る。
「久々のお外なのですわ。」
「あなた方がわらわに掛けられた封印を解いたのですわ?」
私はコクコクと頷くことしか出来なかった。
イザベラは声を大にして言う。
「私はイザベラ ガーデンベルク。」
「お前を封印した人間の末裔だ!」
古の魔術師は驚きの目で彼女を見る。
しかし、その目は直ぐに怨嗟を帯びる。
「ガーデンベルク家.....。」
「わらわを封印した忌まわしき家。」
彼女は耳が、裂けるほどの高笑いをする。
「自己紹介が遅れましたわ。」
「わらわの名は"エイダ"」
「魔法幼女"エイダ"ですわ。」
「以後お見知りおきを。」
彼女は不敵な笑みを浮かべた。
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