休題 HSP研究所 職員 青泉伊織
所長に言われて、久しぶりに支部に向かう。
今までずっと在宅作業が許されていたから出社は久しぶりだった。
黒いパンツスーツにイヤホン。
家では始終音楽を流してばかりだったから、音がないと不安になっていた。
紺のショルダーバッグには今回の依頼者、美利 野乃花14歳の情報がかき集められるだけ集めて入っている。
氏名、性別、年齢。
そう言ったものは案外簡単にわかるものだ。
今回の依頼者は子供だったから余計に。
警戒をしているのはわかった。だが、本人が漏らさないようにいくら頑張っても人とつながりを持っているうちは他者から簡単に手に入ることもある。
自分で解決できない、他者を救いたい。そういう気持ちを持った人からは特に。
今回の場合だと、学校独自の情報網、それからSNS。この二つが決定的な情報をくれた。
同級生が部活に急に来なくなった、
友達が一人で悩んでいる。
娘が急に外に出れなくなった。話しかけてもなにも言わない。
けれど、部屋の隅に白い変な塩の塊を見つけてしまった。怖い。
恐怖もまた、貴重な情報源である。
私の仕事は特に。
心理カウンセラーを持った情報屋。
それがわたしの職業だ。
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