二次攻撃
柊さんの『良い案』とやらは一旦さて置き、一度準備区画まで撤退した私達は、リゼラを治療しながら他の迷宮での絶望的な戦況を聞いていた。
既に5層を破壊されている私の出身の第五迷宮は依然復旧されておらず、他の第一から第二、第四から第十二迷宮の5階層は全て突破され迷宮の機能は現在停止状態、未帰還者は3割に上る。 今回の作戦で急遽動員された召喚者含む3万人の兵士のうち、約9千人が戦死したとの事だった。
私にとっては特に意味を成さないが、亜人の約一万の被害も含めると、人間側はその分だけ
尤も、元々貯めていたエウパを戦闘物資に変換し、またそれを繰り返す事になるので総合的にはマイナスになるのだが。
◇
第五層から柊さんに背負われて準備区画に戻って来たリゼラの火傷に、最初は一生懸命高級ポーションを掛けて治そうとした私達だったが、重度の火傷の場合ポーションの効果が皮膚の奥に入り難いのか、表面の皮膚が治っても、奥は焼けたままという状態になる事が発覚した。
それを治す為には、体内に直接ポーションを入れる必要に迫られた訳だが、気絶している彼女の口に無理矢理ポーションを流し込んで気道を塞ぐ訳にも行かず、柊さんの『患部の表面を再度切り裂いてポーションを中に流し込む』というある意味無茶苦茶な案によって危険な状態を乗り切ったのが二時間前。
次は、身体中にポーションを浸透させてみるのはどうかという案(これも柊さんの考え)に移り、リゼラはピピナ商店の一角に設けた、ポーションで満たされたバスタブに全裸で漬けられた。
そのポーションのバスタブでじわりじわりとリゼラの身体は治って行ったのだが、一見傷が癒えた様に見えても、実は内臓の損傷が酷かった。 臀部は腰骨の近くまで火傷しており、膀胱破裂、大腸、小腸の破損、女性部分も破損、肛門も大腸に至るまで完全に破損していたのだ。
ポーションのバスタブに浸からせられたリゼラは、一瞬意識を取り戻したのだが、下腹部の痛みで再び意識を失ってしまった。
すぐさまそれが内臓の損傷によるものだと判断した柊さんは、切れ味の良い小太刀を生成して破損しているであろう部位をその小太刀で突き刺し、ポーションをその破損している身体の部位に無理矢理流し込むという荒業で治していったのである。
一時間程前に再びリゼラが意識を取り戻し、一応ポーションを経口摂取もさせて完治となったのだが、
『ご迷惑をお掛けしました。 しかし、疲れが取れればまた戦えそうです。』
『相手も補給があるだろうし、第三迷宮には斥候を出して様子を見るだろう。 それから一度軍を立て直して再度攻撃して来るにしても、二日は掛かる筈だ。』
『フィアーデからの連絡で、グランセリアの精鋭800名が直接この第三迷宮の五層に今から送られるそうです。』
『……そうか。』
ちなみに、身体に付いたポーションを拭きとったバスタオルを腰に一枚身体に巻いただけのリゼラは、乳房を丸出しにしながら会話を続けているが、柊さんはそんな彼女の身体に目を向ける事無く、ピピナ商店の武器や道具を検索しながら、五層を後にした時に言っていた『良い考え』の作戦の内容を考えていた。
私には分からないが、色々な化学式を紙に書いて、何が実行可能で、何が効率的なのかというのを調べているらしい。
私とパーシャは洗浄剤で身を清めた後、整髪料で髪を整えた。 どちらもエウパを使って生成された品物だが、ポーションと同じく
それならば食べ物や飲み物も戦闘物資として認識すれば良いのではとリゼラは言ったのだが、パーシャも含めて、私も柊さんも、それだけはきっぱりと断った。
食べるという欲求を満たす為の行為と、医療行為は違うのだ、と。
詭弁だと言われるかもしれないが、例えば自分が美味しいと感じて毎日食べて居た物が、実はエルフの大便だったと気付いたらどうする? と、柊さんはリゼラに嫌な例え話をしていた。
よって、私達は柊さんに再びリープポイントに設置した移動先を狐族の集落に移動して貰い、かつて柊さんが集めて居た食材や狐族が持つ食材を迷宮に持ち込んで調理する事にした。
調理は主に柊さんが行ったが、私も食材を切ったりなどして手伝い、迷宮での亜人との第一戦後の初めての食事は、旬のキノコと野菜のリゾットとなった。
『反省点は多いが、今回の戦いで色々と学んだな。』
シードルで喉を潤しながら、柊さん。
『魔法攻撃だけに警戒していてはダメだと言う事ですよね。』
と、何故か私にも注がれたシードルで喉を潤す私。
『一人で囮になるのはちょっと心細い……です。』
と、何気に私の杯にシードルを注いだ犯人のパーシャが、自分の杯にも当たり前の様にシードルを注ぎながら念話で言う。
『カナ様は、二度目の爆炎以降、呼吸が一瞬出来なくなったとの事ですが、火と呼吸に何の関係があるのですか?』
リゼラは首を傾げながら言った。
――――そう。 今回学んだ事で一番大事なところはそれだ。
密閉空間の中で人間を形成する元素である炭素が燃焼し続ければ、空気中の酸素が消費され、人間も亜人も、呼吸が出来なくなる。
そんな私達の世界の常識が、この世界ではあまり知られて居ない、という事。
これが最大のアドヴァンテージになると柊さんは考えたのだ。
『柊さん、どこまで答えて良いのでしょうか?』
『リゼラ君、今はその答えは言えない。 この世界の人間がいずれ自分達で解き明かして行く事だ。』
『……わかりました。』
この世界の知識は、エウパの利用という点に偏り過ぎているのだ。
尤も、惑星間を移動する技術までもをそのエウパで成し遂げたというのも事実で、その万能さ故に他の技術を研究する意味が無かったのだろう。
私達の世界の料理を再現する技術とて、柊さんに言わせれば『誰かが作れて、素材が何かを知っていればコピー出来る』代物なのだから。
銃だって作ろうと思えば作れるが、魔法の一撃よりも弱い物を多量のエウパで作ってどうするのかというのが、この世界の基本
「柊さん、具体的にどんなのが使えそうですか?」
パーシャには悪いが、リゼラに理解出来ない様に敢えて日本語で柊さんに話し掛ける私。
「初見で敵が対処出来ないのは、毒ガスだな。 出来れば最初は遅効性のガスが良い。 マスタードガスとか、な。」
「でも、迷宮が浄化してしまうんじゃないですか?」
「ドワーフの兵器の砲弾が爆発した時の様に、迷宮の階層全体に一気に流し込んでしまえば良い。 それに、毒ガスの後処理を迷宮が行ってくれるというのが尚良いのだ。 何を使ったのか、使われたのか、痕跡が残らん。」
「他には?」
「ガスに続いてガスでは芸が無い。 ならば可燃性の高い燃料を空気中に散布して燃焼爆発させる……いわば燃料気化爆弾だな。 これも迷宮を壊さない様に最初は威力を小さめにして
ふむふむ、と、頷く私。
我ながら物騒な話をしているのは理解しているが、これは戦争だ。 しかも、相手は自分達を殲滅しようとしている、言わば殲滅戦争。
相手が何でもありの攻撃を仕掛けて来るなら、こちらも『何でもあり』の手段で対抗するしか無いのだ。
今回、ドワーフの武器の暴発は、柊さんにこの考えに至る二つのヒントを与えてしまった。
一つは、魔法による爆発や電撃には魔法障壁の効果はあるが、その魔法で何かが誘爆した場合は物理攻撃に変わるという事だ。
二つめのヒントは、ドワーフが用意した砲台と弾丸である。 柊さんは今まで砲台がどのような形をしているのかは知って居たが、どの様に使われるのかという知識が一切無かった。 だが、弾頭は高威力の炎弾であるという事が分かったし、砲台がそれを発射する装置だと言う事も分かった。
砲台も弾丸も、ドワーフの長い研究の結果から作り出された物なのだろうが、弾丸一つにしてもどれほどエウパを消費しているのか見当も付かない。
例えばこのピピナ商店にも、LV1の魔法である火炎弾を出すスクロールという巻物や、それぞれの属性に合った魔法を貯め込む事が出来る宝石などがあるが、『魔法を封じ込める』という特殊な道具の作成には、相当量のエウパが必要になる。
私が度々ピンチの時に使って居たクリムゾンアポカリプスという宝石は、概算で人間4人分の魂が使われた物だ。 それを他人が使えるように『もし』加工したとしたら、柊さん曰く『封じ込める分』、『威力を保持する分』、『いつでも発動できるように加工する分』と、4倍づつコストが増えて行き、250人以上の魂をようやく使って出来る物なのだそうだ。
勿論、これは人間側の技術による算出で、よりエウパを効率的に運用出来るドワーフとは違うだろうが、あれほどの威力の炎弾を一つ作成するのに対して、LV1魔法のスクロール一個のコストまで効率化出来ているという事はまず有り得まい。
対して、この世界で提供されている料理の様に、素材やレシピを知って居る物なら、模倣出来る柊さんのスキル。
そして、それによって作り出された物を、分解し、再構築出来るピピナ商店のシステムで、その物を量産出来るのだ。
更に柊さんの受け売りだが、『自分や他人の命に値段を勝手に付けられる世界』というのが、この世界の根幹だ。
林檎一個を魂から変換するコストと、高級食材であるキャビアを魂から変換するコストが、質量が同じならばほぼ等価という狂った世界が、この世界である。
この根幹を根本からひっくり返す事が出来るという事も、人間のエウパへの依存から自然への回帰へと促すかもしれない、と、柊さんは言った。
「じゃあ、まずはマスタードガスの製造ですね。」
「それはさっき作って、ピピナ商店の毒の項目に既に入れておいた。」
「はぁ……。」
柊さんの手際の良さに感心しつつも、もう既に作っているとなると、少し気が抜けてしまった私。
手伝おうと思っていたのに……。
「ガラスの容器にガスを閉じ込めてあり、割れば中身が散布するように出来ている。」
「どうやってガラスを割るんですか?」
投げて割るのでは、自分もその毒ガスを食らってしまうだろう。
「時限式の爆薬が適切だろうな。 ゼンマイ式のタイマーで雷管を発火させ、火薬と共に鉄片を周囲にばらまく装置も、既に作ってある。」
「……もう魔法、要らないんじゃないですか?」
「敵が攻めてくる場所が分かって居て、そこが密閉空間だと言う条件が揃って居れば、な。 マルサーラの大地を毒で汚すつもりは無いさ。」
「けど、ピピナ商店がある限りほぼ無限に作れるんですよね?」
「忘れたのか? 俺達の目的は人間にもエウパの使用をやめさせる事、だ。 0から同じ物を作るには……千年以上は掛かるんじゃないかね。」
「いつか人類も亜人も、マルサーラでまた戦争を始めるんですかね。」
「領土争いは避けられないだろうな。 だが、この
「そこまで考えて居たんですか……。」
「後の事まで考える義理は無いがな。 あくまでも俺の予想だよ。」
シードルの入った杯を空にして、再度シードルを杯になみなみと注ぐ柊さん。
と、私と柊さんの話が一旦終わったのだと理解したのか、隣に座って居たパーシャが今度は自分の番だとばかりに距離を詰めて来て、私のマントの裾を二度引っ張った。
『カナ、少し休まないですか?』
休憩所の方を指して言うパーシャ。
柊さんに視線を合わせると、彼は軽く頷き、パーシャにシードルが入った瓶をもう一瓶渡し、
『リゼラ君は俺が見ておく。 君達はもう休むと良い。』
そう念話で伝えて来た。
『あと、これは干しエビと小魚だ。 つまみにでもして食べたまえ。 特に織部君、君にはカルシウムと動物性たんぱく質が足りんからな。』
そう付け加えて干した葉っぱで包まれた小包みを私に渡す柊さんだった。
◇
パーシャと私は、二人で準備区画の宿屋へと向かった。
避難指示があったせいか全ての部屋が空いた状態になって、どの部屋も選び放題だったが、敢えて迷宮の入り口に近い位置にある二人部屋を選んだ私達。
二人で行動させる事を柊さんもリゼラも許可したのは意外だったが、積もる話もあるだろうという配慮を感じた。
『カナ……。』
部屋に入って扉を閉めると、いきなりパーシャが私の背中に抱き付いて来た。
『私達は悪運が強いのね。 また二人共生き残れたわ。』
『カナが助けてくれなかったら、パーシャは死んでたです。』
身体を小刻みに震わせながら言うパーシャ。
『なぁに? 今更怖くなった?』
優しい口調で言う私だったが、実は自分への誤魔化しでもある。
かく言う私だって、未だに戦う事への恐怖は拭えていないのだから。
『この世界で死んだら、生まれ変われないです。 二度とカナと会えないです。 パーシャは……それが一番怖いです。』
『そうね……私もそれが一番怖いわ。』
パーシャも私も、無神論者だ。 だが、『魂』の存在がある事だけは双方確信しており、元の世界で輪廻転生した後、再び出会う、その願いだけが戦う糧だ。
だが、背中に感じるパーシャの温もりは、確かにそこにあり、私は今を必死に生きる事にも、意味が全く無い訳では無いとも感じていた。
『ここならリゼラに盗み聞きされないかしら?』
パーシャの腕を優しく解きながら、彼女に向き合う私。
『多分、意識しなければ大丈夫です。』
確信は無いが、私もそんな気がしていた。 それに、もし聞こえて居たとしても、リゼラは聞かなかった事にしてくれるだろう、とも。
『さ、飲み直しましょう。 二人でゆっくりするのは久しぶりね。』
『……はいです。』
パーシャは自分と私の杯にシードルを注ぎ、二人で杯を合わせて無言で乾杯する。
たかが一戦勝ったところで、祝勝会を始めるつもりは二人とも無いからだ。
『ところでカナ、前の世界の技術を使うですか?』
『……まあ、ね。 何で分かったの?』
『ガスって単語は聞き取れたです。』
……聡いのよね、パーシャは。
『その……ガスの攻撃って、パーシャには抵抗あるの?』
『催涙ガスに良い思い出、無いです。』
はは、と、から笑いを浮かべるパーシャ。
『でも、勝つために手段を選ばないっていうのは、パーシャも同意見ですよ。 ……だからカナ、核攻撃の事で自分を責めたりするのはダメですよ。』
『何か、怒りとかの感情で人や亜人を殺していた時が懐かしく感じるわ……。』
『パーシャはまだ良く分からないです。 カナはもう、右目を撃ったヒナも、コータっていう人も、恨んでないんですよね?』
『そうね……。 多少思うところはあるけれど、今はもう仕方なかったのかな、って思うわ。』
『仕方ない、ですか。』
『だって、召喚された身としては同じ犠牲者だもの。 私が二ノ宮と逆の立場だったら、同じ事をしてたかもって、今なら思う。 それに、右腕を無くしたのは私が彼に手を出そうとして、勝手に自爆しただけだから、自業自得なのよ。』
シードルを飲みながら、今の本音を言う私。 リーザとユズキを殺して、パーシャを串刺しにした事には、未だに憤りを感じては居るが。
『それに、立場は違えど、実は目的は一緒なのよ。 私達の世界から人間を召喚するのをやめさせる、という点では、ね。』
『コータがそう言ったですか?』
『この世界の人間を滅ぼすのが彼の目的だとは聞いたわ。 私達の様な犠牲者を、もう出さない為にって、ね。』
『…………もしパーシャが手を出してなければ、コータと組んだ、ですか?』
『それは無いわ。 人間の子供を食べて居るのを知ってるのよ? そんな彼等と手を結ぶって選択肢は有り得ないわ。 ……逆に、二ノ宮達があの事実を知ったらショックだろうなって憐れみを感じるわよ。』
『パーシャは、ヒナが……どうしても許せないです。 仲間だと思ってたのに……。』
『私には何となく分かるわ。 二ノ宮は、私の姿を見て、攻撃を止めたの。』
『それとヒナがカナを裏切るのと、何の関係があるですか。』
『もし、三島が一人だったら、二ノ宮は三島を殺してしまっていたの。』
『……まだ分からないです。』
シードルを飲みながら、首を傾げて眉を顰めるパーシャ。
『私達は二ノ宮に、私達が亜人だと誤認させのは覚えてるわよね?』
こくり、と、頷くパーシャ。
『人間だけの集団に三島が居たなら、二ノ宮は問答無用で彼女を殺してたわ。』
『むしろそうしてくれたら良かったです。』
少し頬を膨らませながら毒を吐く彼女。
『……あれはねぇ。 多分、嫉妬だったのよ。』
『はい?』
分からないか。 分からないわよねぇ。
実を言えば私もついさっき分かったんだもの。
『僕たちが殺し合ってどうするんだ、って、二ノ宮は私に言ったわ。 その僕たちというカテゴリーに、三島は入って無かったのよ。 彼女にとって、彼女だけが二ノ宮の特別な存在な筈なのに、二ノ宮は
『……女として、という意味ではないですよね?』
『勿論違うわ。 戦力として、よ。 でも、彼女にとっては、そういう意味だとしても、私が妬ましかった。 そして、自分の男を独り占めに出来なかったのが、悔しかったのよ。』
『結局自分の事しか考えてないじゃないですか!』
『私達だって、今は自分達の事しか考えてないわ。 でも、よく考えてみて。 何故二人は私達に止めを刺さなかったの?』
『パーシャ達の黒薔薇の庭で……近づけなかったからじゃないです?』
『違うわ。 二ノ宮も三島も遠距離攻撃が出来た。 遠くから殺そうと思えば殺せたのよ。 それに、私が持って居た剣、バゼラルドが無くなってた。』
『二ノ宮は……倒れたカナに近付いて、いた……ですか。』
『そう。 そこで止めを刺す事も出来た。 私達は、何故か
『一体……何故です……。』
『それは分からないわ。 けど、今日迷宮で戦ったみたいに、
尤も、あの時私の方は二ノ宮を本気で殺すつもりだったけれども。
『次に二人に会ったら、どうするです?』
そうね。 聞きたいわよね。 でも、それに関して答えは決まっているの。
『敵なら殺す。 それだけよ。』
◇
その日はそれ以上私とパーシャの間で戦争の話題が上がる事は無かった。
パーシャに人工呼吸したのが私のファーストキスだっただの、柊さんがエウパで出来た食べ物をエルフの大便と揶揄してリゼラに言った事だの、あとは故郷の音楽の話などをしながら、二人でシードルを飲んでいた。
『ロシアでも結構日本の曲は有名ですよ。』
『へぇ。 私が知ってる曲かしら。』
『パーシャもタイトルは知らないです。』
『それじゃ私が知ってるかどうかも分からないじゃない。』
『アニメの曲だったと思うです。』
『何てタイトルのアニメ?』
『……覚えてないです。』
じゃあやっぱり分かるわけ無いじゃない、と、笑いながらシードルを飲む私。
パーシャは一瞬困った様な顔をしながらも、鼻歌で何とか歌を再現するが、私に聞き覚えが無いメロディーだったので、結局分からないままね、と、二人で笑い合い……どちらからともなく、ベッドを背にして寝息を立て始めるのだった。
◇
次の日の朝、私は空腹で目を覚ました。
パーシャの頭が私の左肩に乗って居るのに気付き、お互いベッドを背にして寝てしまったのかと苦笑しながら彼女の頭を肩で揺する私。
「カ……ナ?」
ぽやぽやとした寝ぼけ眼で私を見て、はっ、と、口の端から漏れていた涎に気付き、それを慌てて手で拭うパーシャ。
ちなみにパーシャが寝入る時には腰に付けた短刀を握って悪魔の角と尻尾を仕舞っていてくれたらしい。
もし仕舞ってくれていなかったら、私の喉にパーシャの角が突き刺さっていて、私は彼女に死体で発見されていただろう。
まあ、そうはならなかったので、ただの笑い話で済んだが。
◇
てっきりまた最前線に送られると思って覚悟を決めて柊さん達の居るピピナ商店にやってきた私達だったが、
「おはよう。 良く眠れたかね。」
と、特に焦る様も無く、朝食を作っていた柊さんの挨拶に拍子抜けする私。
「は、はい。 おはようございます。 リゼラは?」
「まだ寝ているよ。 何か用でもあったかね。」
「いえ。 昨日真っ裸だったので、どうしたのかな、と。」
「ああ……。 新しく手に入れたポイントで適当に服を見繕っていたよ。 もう鎧はやめて、動きやすい恰好にするそうだ。」
「鎧が熱せられて中までじっくり焼かれたのがトラウマになりましたかね。」
ぶっ、と、噴き出す柊さん。
「そういう言い回しは、本人の前ですべきでは無いな。」
と、まだ笑いを堪えながら言う柊さんは、ほれ、と、私達に味噌汁と握り飯を渡して来た。
『パーシャ、朝ごはんだって。 食べる?』
『はいです! ……あれ? これって、日本の料理じゃないですか?』
握り飯と味噌汁を料理と言えるのかどうかは分からないが、確かに日本食ではある。
『狐族の文化が日本に近いらしくて、私と柊さんは好んで食べてるかなぁ。』
はむん、と、握り飯にかぶりつくパーシャ。 そして咀嚼。
『……美味しいですけど、マヨネーズ無いです?』
ふむ。 ロシア人に塩にぎりは素朴過ぎたようだ。
◇
リゼラが目を覚まして私達に合流する頃、私は何故こんなにまったりしているのかという理由を柊さんから聞いて納得していた。
マスタードガスと起爆装置は私達が宿屋区画に行った後に柊さんによって準備され、それをリゼラが迷宮の5階層に届けた。
現在5層に残っているのは二人の探知能力者と、その護衛の精鋭兵士四人のみで、後の部隊はグランセリアに引き上げたらしい。
あとは敵が侵入してくるのを待つだけなので、実質私達がやる事が無くなった、というのが現状だ。
「こっちの世界の人間に、ガスの使い方を教えても大丈夫だったんですか?」
「フィアーデにこの第三迷宮以外でのガスと起爆装置の生成は止めて貰って居るし、一度起爆したところで原理は分からんだろうから問題あるまい。」
と、干し梅をお湯に落とした物を飲みながら言う柊さん。
『ところで私は何をすれば良いのでしょうか?』
『連絡要員が必要だから我々と共に待機、だな。』
何やらそわそわとしていたリゼラだったが、柊さんの言葉で肩の力を抜き、背嚢からビスケットの様な固形食糧を出して食べ出した。
『美味しいの? それ。』
『……エルフの糞を食べて居る味です。』
私の質問に答えたユズキの台詞が、何故かパーシャの笑いのツボに嵌ったらしく、ケタケタとお腹を抱えて笑う彼女だった。
◇
さて、何事も無く一日が経過した。 私がした事と言えば、柊さんから貰った小太刀の強化をした事くらいだ。
パーシャは、ピピナ商店の中で狭い場所での飛行訓練を小一時間したくらい。
リゼラは司令部と何やら部隊の調整等を行っていたが、彼女も夕餉近くなった時には既に葡萄酒で酒盛りを始めて居た。
亜人と最終決戦してんのに、こんなので良いの? という感想を抱く私だが、実際今出来る事はあまり無いし、こちらから打って出るのも
当の柊さんは、私のプロミネンスシリーズまでは行かなくとも、何か良い防具は出来ないかと色々模索していた。 耐寒、耐熱、耐電を目指したようで、鉱石や既に魔法が掛かって居る防具などを組み合わせるが、結局その全てを満たす条件の防具を作る事は叶わなかった。
「何故私のプロミネンスシリーズだけ作れたんですか?」
「俺の古い友人の素質が君と同じだったのは話したな。」
「はい。」
「プロミネンスシリーズは、その彼の素質を元にした、半永久機関なのだよ……。 つまり、彼や君の様に、紅蓮の力が無いと使えない。」
という一幕もあった。 行き詰って居る柊さんを励ますつもりだった私だが、結局は素質がどのようなものなのかによって左右される為、汎用品が作れないのである。
パーシャの黒薔薇のドレスも、エウパで生成は出来るが、闇属性の素質が無いと使えないと言った制約がある。
だが、武器の開発では一部進展があった。 リゼラの剣の強化を行ったのだが、私がLV2魔法を組み込んだ宝石を12個用意したところ、剣に紅蓮の効果の一部を付与出来たのである。
ただ、魔力を使わなければ発動しないので、魔法が使えないリゼラには無用の長物となってしまったのだが。
しかし、何かの役には立つかもしれない、と、一応柊さんがそれを使う事にした。
武器がいきなり無くなったリゼラは不満を漏らしたが、普通に強化したレイピアを柊さんから与えられ、前に使って居た物よりも切れ味が良いそれに満足した彼女は、晩酌に戻るのだった。
◇
柊さんが敵の二次攻撃の動きを予測していた二日目に突入した。
しかし、その日も敵に動きは無く、第三迷宮は静かなまま、三日目を迎えてしまった。
『おかしい……。 流石にここまで動きが無いとは……。』
三日目の朝、朝食を食べながらそんな言葉を漏らす柊さん。
『この迷宮の5層を破壊しないと絶対に先には進めないのですがね。』
ちゃっかりと白米が入ったお椀を持ち、大根の漬物をポリポリと音を立てて咀嚼しているリゼラ。 流石にエルフの大便はもう食べたくないようで何よりだが。
『……この迷宮の5層に侵攻した軍の状況を確かめにも、来ない……のか。』
『兵士が一人も帰って来ない事が、逆に敵に警戒をさせてしまったのでは?』
『だとしても、確認もしに来ない……とは。』
私も白米を食べながら二人の会話に耳を傾けて、何かが腑に落ちないと感じていた。
多大な犠牲を出して奇襲攻撃をしたからには、結果を出すまでは引くに引けない筈なのだ。 それなのに、敵は何も動かない。
『何か不確定要素があったのでしょうか……。』
不安そうな表情で言うリゼラだが、私にその不確定要素の心当たりは無い。
ほぼ毎日狐族の集落に転送して食料と共に情報も集めている私達だが、彼等の情報によると、亜人の軍が人間の本拠地を遂に攻撃し始めた、というものだけだった。
『あの、パーシャには心当たりがあるです。』
『えっ!?』
醤油を掛けた白米を咀嚼しながらあっさりと言うパーシャに、驚愕の表情を浮かべる私達。
『亜人達が迷宮に入って来た時、何故かパーシャだけが追い掛け回されたです。』
『そういえば……そうね。 なんでだろ……。』
『思えば、パーシャがエルフを角で刺し殺した時、変な感じがしたです。』
『変な?』
『何か身体に纏わりつくような……変な感じが……。』
『パーシャ君……それだ。 俺達は探知されなかったが、君は
『はいです。 迷宮の中を飛んで居る時は、どうしても分かれ道を曲がるなら減速しないとならないので、足の速い獣人にあと一歩で追い付かれそうになったです。』
『つまり、君は振り向いて、顔を見せたのだな?』
『はいです。 ……相手は虎っぽい感じでした。 パーシャの顔を見た時は驚いた顔をしてたです。』
『成程……。 エルフ達は敵が人間だけだと思って居たが、何故か亜人も混ざって居た事に困惑しているのか。 その情報はエルフ達に伝えられ、そして部隊が全滅した事も情報がその報告以降途絶えた事で分かっており、第三迷宮の侵攻を躊躇している。 こんなところか……。』
『敵が来てくれないと話にならないじゃないですか。』
折角用意した罠の意味が無くなってしまう。
『第三迷宮の5層を何が何でも攻略しなければ次の階層には相手は兵を進められない。 が、我々も同じく、いずれかの迷宮を復旧して転送装置も復旧させないと、各地で孤立している人間の部隊を救出する事が不可能だ。』
『もしかして、敵も私達と同じく罠を張っているって事でしょうか?』
敵も狡猾だ。 罠を張るくらいはしていてもおかしくない。
『……ふむ。 それも考えられるな。 地上にすぐ出られるのは第三迷宮からのみだ。 リゼラ君、他の迷宮の5階層を復旧させるのにどれくらいの時間が掛かるのかね?』
『機材を用意すれば約半日で復旧させられますが、あくまでも敵が4層に居ないという仮定で、です。』
『敵から迷宮の4層はどう見えているのだ?』
『ボス部屋から50歩離れた場所からは、透明な壁に阻まれて進めない筈です。 完全に存在している次元が違うので、4層のこちらの状況を探知したりも出来ない筈という感じです。』
『逆もしかり、か。 敵が4層のボス部屋で待ち受けているかどうかを人間側が調べる事も出来ない、か。』
『次元の壁を越えれば可能です。 ただ、敵が待ち受けているとすればその次元の壁でしょう。 調べようと壁を越えれば、その人物は確実に殺されますね。』
『よし。 こちらから打って出て、敵を迷宮内に誘き引き寄せるぞ。』
「はいぃ?」
間抜けな声を上げてしまう私。
『俺が迷宮の外に出た時、段々と亜人達の集落に転移する場所を移して行ったのは覚えているな?』
『は、はい……。』
『転移する場所を第三迷宮の前線基地に一番近い場所に設定する。 織部君はそこから前線基地を索敵して貰う。』
……確かに良い作戦かもしれない。 まさか敵が内側からじゃなく、外から来るとは考えていまい。
『ちょっと待つです。 敵は何故パーシャ達が亜人だから警戒してるです?』
『うん……? 失念していたな。 何か思うところでもあるのかね。』
『もしかして、パーシャ達……亜人の跳躍装置も使えるのではないですか?』
『『っ!?』』
な、成程。 それなら警戒もする筈だ……。
忘れて居たが、二ノ宮は実際亜人の跳躍装置で敵の本拠地に飛んだと言って居たんだった……。
『それで我々を外に出さない様に必死になっていると言う訳か……。』
『でも、柊さんのスキルで結局外には出られるわ……。』
『それを知られたら拙いとパーシャは思うです。』
『え? 何で?』
『敵は核攻撃をした人間を、人間の本拠地と分断させる為にこの行動を起こしたです。 その人間が実は狐族だと見抜かれたら、狐族が標的にされるですよ。』
『確かに……。 良く思い付いたな、パーシャ君。』
『だから、姿を見られたパーシャが……5層から外に出るです。』
『何言ってるの! 一人で敵を相手にするつもり!?』
『……いや、パーシャ君には何か考えがあるのだろう? 続きを話してくれないか。』
『そうですよ、カナ。 流石にパーシャ一人じゃ自殺行為です。 だから、人間と、ヒイラギの手を借りるです。』
◇
『これにこんな使い道があるなんて……。』
液化石油ガスが詰まった『簡易トイレボトル』を眺めて言うリゼラ。
マスタードガスを密閉したガラスでは液化石油ガスの圧力に対する強度が不十分だと考えた柊さんがの目に止まったのが、臭いも完全密閉するというトイレボトルだったのである。
それでも床に落とすなどの衝撃を加えれば、一気に中に入ったガスが噴出してしまうギリギリの強度だが。
柊さんはそれを400本用意しており、200人の人間の兵士がフィアーデの命令により集められる事になってた。
やがて鎧はおろか、武器も装備していない兵士達がぞろぞろと迷宮の出口付近に集結して来て、これから亜人と戦いに行くにしては様子がおかしいぞ、と、首を傾げる彼等。
そんな彼等に持たされるのは、ガスの入ったボトルが二本。 リゼラが取り扱い注意だと説明する事で、それが武器だと分かると顔を引き締めて5列に並ぶ兵士達。
やがて全てのボトルが兵士に配られたのを確認したリゼラは一つ頷き、
『傾注!』
と、並んでいる兵士に向かって念話で言う。
『迷宮から出られるのは通路の幅から見て一度に10人程まで。 だから、通路の左側を迷宮から出る側、右側を退路として使います。 一度に入るのは、今並んで居る横5人づつです。』
今回指揮をするのは柊さんではなくリゼラ。 あくまでも『人間』が主導になって攻撃しているという体を敵に見せなければならないからだ。
尤も、この作戦を考えたのが柊さんなのは集められた人間達は薄々と感じてはいるだろうが。
『迷宮から出たら両手に持ったボトルを取り合えず前に投げなさい。 投げたらすぐに退避して、この扉に入るように。』
この扉とリゼラが指したのは、退路に設置した柊さんが改造したキャンプセットの扉だ。 私は作戦が始めるのと同時に先行してこの扉を抜けて狐族の集落に向かう。
狐族に既に話は通しており、彼等が武装はしていないとは言え、集落にいきなり人間だけが飛び込んで来たら戸惑ってしまうだろう。 だから、狐族の女王である私が先導する必要があるのだ。
『迷宮の外の空気は絶対に吸わない様に。 息を止めながら投げなさい。 何か質問は?』
『攻撃を受けた場合はどうすれば宜しいですか?』
一人の女性兵士が手を上げてリゼラに質問する。
『絶対に応戦しないように。 とにかく逃げなさい。』
『逃げられない場合は……?』
『死になさい。』
あっさりと言うリゼラの言葉にざわめく兵士達。
『どの道、爆発が発生すれば貴方達の身体は吹き飛びます。 あと、倒れて居る味方を起こして迷宮に引き戻す様な愚行はしない事。 流れを止めてしまえばこの作戦は失敗に終わります。』
だが、更に続けたリゼラの命令で、皆ぴたりと口をつぐんだ。
亜人達と真っ向で戦うよりも、この作戦の方が効率的だと瞬間的に理解したからだろう。
『殿は私が務めます。 私が
手に持った起爆装置を兵士達に見せるリゼラ。
ちなみに爆発の範囲は柊さんも想定できないそうだ。
まず、空気よりも重いガスは前線基地がある場所に停滞し、そのガスを吸引した者は呼吸困難を起こすであろう事、もし多少風が吹いてガスが流れてしまっても、連続で発生するガスが発火する事で引火するであろう事だけは私にも伝えられた。
尤も、柊さんの密かな目標は、ドワーフのあの大砲の弾である。 それにあわよく引火すれば、被害は更に甚大な物になるだろう、との事だ。
パーシャもリゼラと一緒に殿を務める。
柊さんは、殿の二人が帰って来たら狐族の集落側から扉を閉める。 そうする事で、敵が例え迷宮に侵入して来たとしても扉が認識出来なくなり、追手は迷宮の5層へ進撃する事になる。
5層の入り口で待ち構えて居るのは6人の兵士達。 2人は探知能力を持って居て、他の4人はマスタードガスの起爆係だ。
万が一燃料気化爆弾の効き目が悪かった場合、敵が大勢攻め込んで来る可能性があり、その為に二段構えの作戦にしたのだ。
『では、60を数えます。 深呼吸をして、息を止めなさい。』
遂に反抗作戦が始まる、と、更に顔を引き締める兵士達。 流石に震える様な臆病者はフィアーデが集めた精鋭の中には居ない様だが、何が起こるか分からないのが戦場だ。
私は予定通りリゼラが30を数えたあたりで狐族の集落へと移動して、
『『『『女王様!』』』』
狐族の歓待を受ける。
今はそんな場合じゃないんだけどな、と、皆に黙る様に人差し指を唇に当てて指示する私。
――――さて、後は待つだけだ。
「…………。」
心の中で30を数えた私。 作戦は始まった筈だ。
――――と、次々と人間の兵士が私が来た扉から流れ込んで来た。
大丈夫か? 作戦は成功するのか?
戦況が見えない状態でやきもきする私だったが、一分と経たずにリゼラとパーシャもやってきて、最後に柊さんが扉を閉め――――
『やったの……かしら?』
と、柊さんを見てリゼラ。
『まだ分からん。 予定通りならば前線基地は火の海な筈だが……。』
柊さんも実際に見ている訳では無いので、そう言うしか無いのだろう。
『ところで、実際に敵は居たの?』
私は殿であるリゼラとパーシャに敵の状況をまず聞いてみる。
『敵は確かに居たです。 ただ、迷宮の出口を取り囲んで居る様な感じだったのが……何か変に感じたです。』
『そうですね……私達が出て来るのを待ち構えて居たのでしょうか。』
『それが敵の罠だったんじゃないの?』
『……それがですね、カナ。 パーシャ達は誰も攻撃されなかったです。』
『良い事じゃない。』
『待って下さいカナ様。 待ち構えて居るのは罠だったとしても、何故誰も攻撃して来なかったのですか?』
そんなの分からないわよ。 敵に聞いて欲しいわ、と、言いたいところだが、違和感を感じるのは確かだ。
『亜人も使っているトイレボトルをいきなり投げられて、それが爆発物だと瞬時に分かる物かね?』
柊さんが言うのも尤もだ。 迷宮に閉じ込められた腹いせに、汚物の入ったボトルを投げ付けて来たと考えても不思議では無い。
『取り合えず我々も待つしかあるまい。』
『そうね……。』
こうして我々の二次攻撃は結果が分からないまま終わりを告げた。
しかし、我々が狐族の集落に滞在している数時間の間に、グランセリアでは大きな
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