第18話 ウォーターパークの猫とオオカミ

水泳と乗馬が日課に組み込まれました。


水遊びの時間は 私も付きっきりで参加です。


幼いうちは 比重も重心の位置も小学生以上とは全く異なるので、子供の水遊びには

「浮き」と大人の監視が必須です。


だから 水をバシャバシャと掛け合う水遊び、ゆっくりと浅い水の中を歩き回る水慣れと 集団で一方向に動くことにより発生する水流を体感することにより、水中と空気中の違いに気付くことetcの導入段階がメインのお遊び。


それと教育熱心な隊長さん達がお気に入りの訓練メニューとして

浅い水の中でワニさん(腕で体をささえて移動)したり ラッコさん(浮袋をかかえてあおむけに寝転んでプカプカ漂って楽しむ)もしましたが・・あくまでも水遊び!

です。


(うかつに水泳指導に同意したら どこまで訓練が発展するかわからないという怖さがあったので)


(だいたい10才未満の子が 急に沈んで見えなくなるのは ボディイメージの固まっていない子供の動きが時として 沈む方向に重心を移してしまうから、頭の固い大人と一緒に水遊びをさせたくないのです 私は。子供に無理をさせる為に 安全規制でがんじがらめにすることも 不慮の事故にさらすのも大反対!

 泳ぎと子供の発達に詳しい人とこちらが承知の相手になら 我が子の水泳指導をお願いしますが・・)


子供達の水遊びに物足りなさを感じたホーリー隊長とサンにコンラッドが知恵をさずけました。

 馬に乗って 川辺まででかけて ついでに水遊びに誘い込んではどうかと。


その結果 自然を利用したウォーターパークが作られました。


ウォータースライダーあり


流れるプールあり


それも 速いのゆっくりしたの  高いの なだらかなの 変化に富んでます


これらを実現する魔法力ってすごい!


子供達は 浮き輪を使って大はしゃぎ。

 浮き輪には魔法がかかっており 水着にそって移動して脇まで来ると止まるので 足を下にした状態ですっぽ抜けることがありません。

 逆に頭を下にして沈んだときには するりと足から抜けてしまいます

(お子ちゃんは がんばって頭を上げて浮上してきてね・・ってそんな深い所に行かせないけど)


ちなみに 子どもの水着は 男女を問わずワンピースタイプです。

それは 水着を着ていてくれた方が大人が子供の体に触れやすいからです

 (裸だと手がすべりやすいので 緊急時に確実に救助できるようにだそうです)


子どもたちがはしゃぐ姿を見て 「いいなぁ」とうらやましく思っていたら

「これ 大人用に水の量が調整できるように作ったんです。今度休暇の時に 大人だけで遊びませんか」とコンラッド。


「すっごい誘惑 大変魅力的な提案だけど 母親業に休日はないのです」と私


コンラッドが少し困った顔をしているので

「魅力と誘惑の源は このウォーターパークなのでご安心を。

 でも このステキな施設を この国大人の方々も楽しむのは良いことだと思います」と言葉を足して置いた。


「あ いや 『母親業に休日なし」ということばにちょっと昔を思い出したのですがどうかお気遣いなく」とコンラッド。


「親にとって 一番大切なことは 子どもを預ける相手が信頼できるかどうか

  それも実力と人間性両方の点において。

 預けられるこどもにとっては、 親と過ごす時間が短くなっても 親との絆が薄れたり弱まったりしないという安心感じゃないかな」


そんな話をしていると、「にゃ~ん」突然黒猫が足元に現れた。


「魔女だ 魔女が出た!」騎士達がすっ飛んでききた。


「わしの声も聞こえぬくせに 魔女だ魔女だと煩いことよ」足元から声がする。


思わずまじまじと 黒猫の金色の目と見つめあってしまった。


「にゃあにゃぁ」黒猫は お座りのポーズで見つめてきた。


私はしゃがみ込んで にゃ~と鳴いてみた。

にゃ~お と答えながら体をこすりつけくるねこ


「抱いてもいい?」念話を試みる

「いいとも 私を飼え」と猫様からのご返事


黒猫を抱き上げて「この子を 連れ帰ってもいいかしら?」と問うてみた。


「黒猫は魔女の化身と言われている。神官たちが同意するなら猫を飼うことに私は反対しないが」コンラッド


「餌とか糞とか寝床ねどことか いろいろ必要になるけど 飼うの手伝ってもらえます?」


「神官の反対がなければ 責任をもってこの猫の世話もしよう」コンラッド


「私の名はエリザベス」黒猫


「エリザベス。エリーって呼んでもいいかしら?それともベス?」

にゃ~ん


ということで この黒猫の呼び名がベスになった。


☆ ☆


水遊びを終え、着替えのあとは そのままピクニックランチ。


なんとなんと ハンバーガー!フライドポテト! アップルパイ!!

  飲み物は コーラではなく レモンティ♫


「あはは マクドじゃなくてマックティだ!」子供たちが一斉に笑い転げています


ハンバーガ―は その場で四つ切にされたので とっても食べやすかったです。


「すごい! これも魔法?」

「ナイフでバンズを切るのってむつかしいよね」

子供達は 尊敬のまなざしを切り分けてくれた人に注ぎました。


子供用のはふっくらバンズが薄く焼かれており、トマトも薄切りになっていたので、子供達は 落っことす心配なくかぶりつけて喜んでいました。


「コックさん ありがとう!」長女


「どういたしまして」バスケットを持ってきてくれた人が返事を返してくれたのでびっくり。


幼児食づくりの参考にするために 本物のコックさんがランチをもって同行していてくれたのです。


「ほんとに なにからなにまで ありがとうございます」


「頭を上げてください そんなに感謝されると恐縮してしまいます。」(コック)


ランチが終わるころ ポニーくらいの大きさの白狼が近づいてきました。


「フェンリルだ!」騎士達が組んだ円陣の間を 黒猫はスルリと抜けていきました。


フェンリルは 黒猫と鼻づらを合わせるようにしてあいさつをかわし

「わしも黒猫と仲間になりに来た」と私達の方を向いて言いました。


というわけで 城に戻る時には ポニーにまたがった子供たちの横に フェンリルにのっかった黒猫も。

 フェンリルの呼び名は「フェン」


ベスと一緒に私達を守りに来たそうです。

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