第3話 御対面

元気いっぱいだったチビ達が急に静かになった。


一番下のチビ助が「ママー 怖いよ~」と私の腕に両手ですがり、私の顔に自分の顔をくっつけてきた。


「うわぁー汗臭い この子の髪は汗でびちょびちょ」


それでも気力を振り絞って体を起こすと・・


目の前に王冠をかぶった男が座っていた。

 その横には 黒いフード付きロープを着た男と、真っ白な服に 紋章付きの細長い帽子をかぶったじい様がいた。


さしずめ王様と 王様つきの魔導士と法皇(だってじい様も王様に負けない玉座に座っていたんだもん)ですか??


「お前達 何者だ?」王様らしき人が口を開いた。


いつのまにか チビっ子達は 私の腕や背中にしがみついている。うー重い。


「ここはどこ?あなたは誰? 人にものを尋ねるからにはそっちから名乗りなさい。

 そして なぜ 私達をここにつれてきたのですか?」


両脇に立っていた槍持ちと同じ服を着た騎士らしき男が

「控えよ! ローゼンタール国王法皇両陛下の御前ごぜんであるぞ」と言う声が声が朗々と響き渡った。 なかなかに良いお声である。


「我らは勇者召喚の儀を行った。女子供をよんだ覚えはない」ロープ姿の男が言った。


「ならば 我らが勇者であるか あなた方が失敗したかのいずれかでしょうね。」と私。

 ウォーターボールの中ではへろへろで、今も頭の中はあの回転でぐるぐるしているが、ここは 母親としての威厳をもって堂々と受けごたえをしよう。


騎士らしき男が 両陛下の前に進み出てひざまずいた。


「おそれながら この国より女性と子供達が姿を消して10年

 ここに現れた6人は聖母子。 聖女といずれ勇者に育つ子供達とその母御ではないでしょうか?」


「うむ 何かその印はないのか?」国王と法皇が声をそろって問うた。


するとバスケットボールが突然降って来てバウンドした。


長男が「あっ」と言ってボールに飛びついてキャッチした。


おお! 壁際に立っていた槍持ち達がどよめいた。

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