第19話 お仕置き②

お仕置き①に関してはムーンライトノベルズ(N1487GU)のみに掲載しております(R-15くらいの内容です)

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レオンスから与えられるお仕置きで頭の中がぼんやりしてくる。

その中で考えるのは彼はこのまま自分を抱くのではないかという疑問だった。


貴族の女性たる者婚姻を結ぶまで純潔を守るべし。


アルディ王国にいた頃に受けた閨教育で言われたことだ。

貴族令嬢であるならば婚姻相手との初夜に純潔を捧げるべきらしい。その実ほとんどの令嬢が婚姻前に婚約者や好きな人に純潔を捧げていることを私は知っている。結局は結婚相手とならいつでも床を共にして良いのだ。

しかし馬鹿正直な私は教わったことを律儀に守ろうとしている。そうやって育てられてきた為、体そういう風になっているのだ。


「あっ…あの、私と…その、するのですか?」


どう表現したら良いのか分からず尋ねるとレオンスは唇から離れてくれた。その際響いた甘美な音に胸がぎゅっとなる。

レオンスは私の瞳をじっと見つめた。


「したい」


短く伝えられた言葉が本気のものであると分かる。だからこそどうしたら良いか分からないのだ。

彼に抱かれるのは嫌じゃない…と思う。でも、婚姻前にそういうことをするのに抵抗がある。

動揺している私を見つめ続けるレオンスは段々と頰を緩めていき、口角が上がっていく。そして吹き出して大笑いを始めた。


「レオ…?」

「冗談だ」


え、と固まる。

今冗談って言いました?

レオンスは私の頬を優しく撫でると額を合わせて微笑んでくる。


「アリアを抱きたい気持ちはあるが無理やりするつもりはない。今のは困らせたくて言っただけだ」

「酷いです」

「お仕置きだと言ったはずだ」


キスがお仕置きじゃなかったのかと責めたくなるが彼はそんなことは言っていない。言い包められて終わりだろうと口を閉じた。


「乱暴にして悪かった」


レオンスはポケットからハンカチを取り出して濡れた首筋や耳を拭いてくれた。

後で洗ってもらえと言われて小さく頷く。

まだ全身が熱い。特に熱が篭っているのは舐められた耳と首筋だ。

どうしてあんなことに…。

彼が私にお仕置きをすると言った理由を思い出す。

それは私が勝手な行動を取って心配させてしまったからだった。


「私こそ勝手な行動を取ってしまい申し訳ありませんでした」


先程のお仕置きを容認出来るかと聞かれたら微妙なところだが、心配をかけてしまったことに関しては謝るべきだと頭を下げた。


「反省しているなら良い」


下げた頭を撫でられる。顔を上げれば普段通り優しく微笑むレオンスと目が合った。

ああ、この顔の方が好きだな。

自然とそう思っていると彼の親指が私の唇に触れた。


「今度は優しくするからキスの許可をくれ」


優しい笑みを浮かべたままの彼に絆された私は執務室に人が訪れるまで甘ったるいキスに浸っていたのだった。

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