第2話「Her future」


私は悩んでいた。


私の大切な人に隠し事を打ち明かすか、それとも黙っているか。


それから何日かが経ったとある休日、私は彼に会うことにした。


デートの待ち合わせをするために、今はカフェに来ている。


十分もしないうちに彼もやってきて、テーブル席で私の正面に彼が座りコーヒーを注文する。



「どうした?」



彼が唐突にそう言う。



「えっと、なにが?」


「いや、なんか変だなぁって思って。緊張してるっていうか」



そりゃ、緊張してるよ。


だって私は決心したんだから。


私は彼に全ての事実を話すことにしたんだから。


もしかしたら、今日が彼と会う最後の日になるのかもしれないんだから。


緊張するし、不安とか、他にも色んなものが私を襲ってきているんだから。



「今日は少し話があるの。とても大切な」



彼が注文したコーヒーが運ばれてきて、彼が一口そのコーヒーを飲んだところで、私は話を切り出す。



「どうした?」



改まった態度に、彼は何の動揺もなく反応する。



「その、私ね、病気なの」


「え?」


「生まれつきなの。黙っててごめん」


「いや、それは別にいいんだけど、大丈夫なの?」



う、この質問は正直してほしくなかった。


病気って理由だけなら別れようってそう簡単には言わないだろうし、少し時間を開けてからタイムリミットのことも、それ以外のことも全部告白しようと思っていた。


だけど、聞かれちゃったら仕方ないよね。



「大丈夫じゃ、ないんだ」



彼は呆気にとられた表情をして、私はただ苦笑いをするだけ。


空気は言うまでもなく最悪だ。



「その、どんな感じに大丈夫じゃないんだ?」


「うーん。一番、最悪な感じ?」


「どういうことだよ」


「ごめんなさい。あと数年もないんだ」


「ないって・・・」



それから先、会話は途切れ、完全に無言となってしまった。


泣きそうになった。心が張り裂けそうで苦しかった。


でも私は、彼に私の全てを話したんだ。


だから、私は彼に最後になるかもしれないわがままを言うことにした。



「私は・・・私は、君のこと好きだから。その、わがままを言ってるかもしれないけど、最後まで君の隣にいたい・・・かな」



ちゃんと想いを伝えて、これでもう、私の悔いはないよ。


この後は、彼が決めることだ。


彼の出した答えに、私も賛同することにしよう。

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