第10話 雑だけど現実な結末
あの遭遇から半年。
結果的に言えば、僕を除いたクラスメイトは全滅した。
心が痛まないといえば、嘘にはなる。
いじめこそなかったけれど、会話もしたことないクラスメイトではあった。
でも、顔は合わせるし、会話は聞こえてくる。
ああよかったね、と世辞にもならないおべっかを心の中で呟いたこともある。
どっかのお調子者が彼女できたことに『ふざけんな』と心の中で舌打ちしながら、同じように『おめでとう』と祝福したこともある。
女子たちの美人に対する陰口に辟易したこともある。
ちょっと派手な下着をつけてる、とかいう会話に興奮したこともあった。
会話はしたこともない。
友達なんて関係じゃない。
ただのクラスメイト達。
でも。
死んでいい奴なんて、一人もいなかった。
生きるのに精いっぱいで、こっちの価値観がしっかり馴染んだ僕には。
彼らを見捨てることしかできなかった。
手を差し出せば、よかったんじゃないか。
もしかしたら、友達に、もっといえば親友にもなれたんじゃないか。
恋人だって、奥さんにもなってくれる人もいたんじゃないか。
元の世界に帰りたかったやつも、いたんじゃないか。
僕は、最低な奴だ。
他人だろ、気にするなと言うやつもいるだろう。
多分そうだ。
いつか僕も、そんなことあったな、で済ませるなんて安易に予想できる。
ただ。
それでも。
今だけは。
泣かせてほしい。
偽善者だのなんだの、好きに言えばいい。
僕は今、悲しいから泣くんだ。
泣かせてくれ。
僕は、
〇〇高校、最後の、生き残り。
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