第7話 買い替え時、認められ時
こんにちは。
不磨七五三夫です。
この世界ではフマーと呼ばれていたりします。
つい最近になって、そう呼ばれ始めました。
初級の時には見向きもしなかったのに、中級に上がって、突然です。
現金だなあ、とは思いましたが、声をかけられることの喜びのほうが圧倒的なのでヨシとします。
さて。
中級はアホほど難しいです。
想定以上のモンスターの数もさることながら、罠の豊富さと陰湿さが跳ね上がっています。
初級の感覚で潜れば、まずお陀仏です。
どうやら僕の元同級生たちも、この中級でその命を多く散らしていったようです。
パーティでかつチートスキル持ちの連中が死ぬんですよ?
ソロで活動している僕は即死案件じゃないですか。
それでも生きて帰ってこれたのは、運が良かったから、としかいいようがない。
モンスターの数が少なく、罠も大したものじゃない。
出会った冒険者も挨拶を交わす程度の普通の人たちばかりだった。
運も実力の内、というのは本当なのかもしれない。
それはそれとして、武器と防具の更新が必要なことがわかりました。
もう全然攻撃が通らないし、相手の一撃で骨が砕けそうになりました。
これはアカンと、今ドワーフの工房にお邪魔しています。
ギルドにお勧めの店とかあります、と聞いたらここを紹介された。
なるほど、鉄と汗と火にまみれて最高に臭い。
しかし並んである武具はどれも高品質な、ように見える。
この短剣とかもよさそうだ。
あと鎖帷子を下に着て、上に厚手の皮の胸当てあたりが欲しい。
籠手もあると有り難いし、今回の冒険で脛当ての重要性がわかった。
お金は張るが、ソロであることの利点として、貯金がある。
問題なく全て買えた。
と思ったら、店の主人に武器を一つ見せられた。
片手剣だ。
握りもよくて、なるほど僕の腕力でも十分振り回せる。
なにより長さも申し分ないし、突っかかることもなさそうだ。
おいくらですか、と尋ねたら『くれてやる』とぶっきらぼうに言われ、主人はそのまま奥へと引っ込んでいった。
唖然とする僕に、弟子の人が『気に入られたんですよ』と一言教えてくれた。
ああ。
なんだろう。
辛くないけど、涙が出てきた。
こう、誰かに認められた、っていうのだろうか。
頑張ろう、って思えた。
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