第21話 Aランク

 新しい弟子たちが来てから4年の月日が流れた…そして修羅達は16歳になる。


 弟子たちは誠からの指導をみるみるうちに吸収していった。

 もう最初の頃のように5対1では流石に無理だ。


 そして今年からコロシアムにエントリーできるようになる。

 修羅達は他の選手達よりも圧倒的に強い為、誠からの特別推薦枠としてBランクからスタートだ。


「先生!僕たち16歳になりました!今年からコロシアムに出場できます!!」


 修羅は嬉しそうに笑みを浮かべながら師匠である誠に話しかけた。


「喜べ、お前達は俺からの特別推薦でBランクからスタートだ。お前たちならあっという間にAランクになるだろう…俺が保証する。」


 誠は本心からそう思っていた。


 自分でさえ、既に危ういと…


「ありがとうございます!これも先生の指導のお蔭です!それでは行ってきます!」


「そうか!道中、気を付けていくんだぞ。」


 そう暖かく誠は修羅たちに声をかけ、送り出した。


 誠は変わった、初めてのオニンピックに向けた合宿から、美琴と出会い、そして可愛い弟子達に囲まれて誠は以前とは比べ物にならないほど、笑みを浮かべるようになった。


 昔のような邪悪さはもはや見る影もない。


 そして修羅たちは誠の期待通り、Aランクに昇格するまで一度も負けることはなかった。


 修羅達は早速誠にAランクになった事を報告する。


「先生!ただいま戻りました!全員Aランクに昇格しました!!」


 しかし、誠は修羅達に厳しい言葉を贈る。


「いいか、お前たち!Aランクになったからって調子に乗るなよ!ここからが本当の勝負だ!まだまだ他の町には強い奴はうじゃうじゃいる。今年はオニンピックに間に合わないかもしれないが、決して油断せずに精進していくんだぞ!」


「はい!わかりました師匠!でも悔しいです!時間が足りてないだけで、僕たちよりも弱い奴らがオニンピックに出るなんて…」


 修羅は少し不服そうだった。


 他の4人の弟子達も実力なら修羅に少し劣るものの、決して他のランキング上位に負けるような子達ではない。


 しかし、誠は敢えて心を鬼にして怒った。


「甘えるんじゃない!!運も実力だ!4年後に必ずチャンスが来る!それまでに己の心の弱さを磨いておけ!!」


 そういうと誠は道場から出て行った。


 誠が道場から出ると、修羅は今まで誠に見せてこなかった表情をしていた。


 そう昔の誠と同じ邪悪な笑みである。


「今のうち、せいぜい先生面するんだな…」


 そして1ヶ月後、オニンピックの選考を兼ねたランキング戦が始まる。

 出場資格はAランク上位10名からなるリーグ戦だ。


 そして今日は選考会最終日。


 ランキング1位の誠VSランキング2位の鬼族の勝負である。


 正直、結果は戦わずとも見えている。


 誠も年を取ったとはいえ、実力が違い過ぎた。


 故に勝負は一瞬で終わる。


「それまで!!誠選手の勝利!!」


 会場に大歓声が響く!


 しかし、この後に誠の運命を変える思いもしない出来事が起こるのだった。

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