第11話 奴隷
翌朝、朝食を終えると選手達は外に出て、ランニング等の基礎訓練を始める。
「こいつは思っていた以上に最悪だな…」
誠は他の選手の基礎能力を見て落胆した。
誠を基準に考えると圧倒的に能力が低かったのだ。
「おい秘書、こんな雑魚共と一緒に訓練していたら体がなまる、俺はやめるぞ。」
誠は練習を指揮する秘書に向かって言い放った。
「ダメです、あなたは強すぎる。だからこそみんなに合わせてください。あなたに足りないのは協調性です。オニンピックは個人戦ではありません。あなたがここで磨く能力はそれだけです。」
「そうか…なら俺は抜けさせてもらう。あとは雑魚たちで頑張るんだな。」
「そうですか、残念です。それではあなたにオニンピックの選手を辞退してもらいます。」
「それがどうした?俺は最初からオニンピックなんて興味はない。」
すると、それを聞いていた他のメンバーが集まってきた。
「待ってください誠さん!!誠さんがいなくなったら私達は絶対勝てません!」
美琴が最初に声を上げた。
「それがどうした?なんで俺がお前らを助けなければいけない?」
「それは…チームだからです!私達は既に仲間なんです!」
「そうか、なら今から他人だ。俺にメリットはない。」
すると今度はなんと武蔵がおそるおそる声をかけた。
「ま、誠殿。我々はこのオニンピックに人生をかけています。どうかお力を貸していただけませんか?」
武蔵の足はガクガクと震えていた。
その姿を見て誠は邪悪な笑みを浮かべる。
「ほう…人生をかけているか…ふ、ははははは!そこまで言うならこのままお前ら雑魚にとことん付き合ってやろうじゃないか。」
誠の意外な発言に全員が驚愕した…が…
「そのかわり、もしもオニンピックで1勝もできなかった時はここにいる全員が俺の奴隷だ。おい、秘書。お前もだ。」
すると、秘書は指で眼鏡を整えると…
「いいでしょう、どうせ今回のオニンピックに勝てなければ私も首だ。それでは皆さん死ぬ気で頑張って下さい。」
「はっはっは、おもしろい。これでこのくそつまらない合宿が楽しくなるってもんだ。おい、お前ら?逃げるなよ、俺は地獄の底まで追いかけるからな。」
自分達が何も言う間もなく恐ろしい事が決まってしまった。
もう後戻りはできない。
この後、誠以外のメンバーは全員死ぬ気で合宿に臨むことになるのだった。
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