第6話 変化

 少年は変わった。


 正確にいうと、少年の周りが変わったのだった。


 少年はもう誰も殺す必要がない。


 なぜならば、周りの者達はその少年が道を歩けば誰もがその道を譲り、少年が店に入ればすぐに彼の求める物を差し出したからだ。


 少年は理解した。


 これが

   

   【強さ】

 

 の意味であると。


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 【町長の館】


「くそ…あいつのせいで…なんていう化け物を育てやがったんだ…」


 そう呟くのはこの町の町長である。


「このままでは、町の被害がでかくなる。だが、この町に奴を止められるものはいない…」


 町長が薄い頭を抱えて悩んでいると、隣に立っている若い男が進言した。


「隣町の彼に殺す事を依頼したらいかがですか?」


 男の進言に、町長は声を荒げる。


「馬鹿か!!できるかそんなもん!あそこは去年うちと戦争したんじゃぞ!そのせいでどれだけ金を奪われたと思ってるんだ!!お前の頭はウジでも湧いてるんじゃないか?」


「ですが…」


「そうだ!!閃いたぞ!!あれだけの力を持ってるんだ!殺すなんて勿体ない!」


「どういうことでしょうか?」


「いいから、俺の言う通り動け!そうだな、金を使って人を集めろ、男5人女5人だ…」


「はぁ…それはかまいませんが…せめてやることだけでも教えていただけませんか?」


「まだわからないのか?家を与えて、飼いならすって事だ。」


「飼いならす!?あの少年を!?本気ですか?話を聞いていなかったのですか?」


「だから死んでもいい人間を集めるのだよ、死んだら補充すればいい。」


「とても町長の言葉とは思えませんね…いいでしょう…やるしかないならやりますよ…」


 青年は全く納得していない顔で、町長の命令に従い人を集めた。


 そして、伝令を少年の下に走らせ、これからは全て周りの者が世話をする旨伝えると、予想外な事にその伝令は少年に殺されることなく、少年はそれに従って、町の外れの屋敷に住むことになるのだった…

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