第31話 夢

「...ンセイ!時間でーす。センセイ?...しょうちゃん?」


ん?誰かが呼んでる

あ〜寝てたのか、あれは...夢か。

そーいえば、当直だったっけ



「ん〜アレ?友希?深夜勤だった?」

「急に代わったの」

「そか。あ、コーヒーありがと。あ、ちょっと待って」


素早くキスをする


「ちょっと、病院だよー」

「うん、知ってる」


もう〜

と言いながら、キスを返してくれる


ふふ

よし、頑張ろ




それにしても、嫌な夢だったな




『それで?どんな夢だったの?』


昼休み、食堂で一緒になった同期の薫(婦人科医)は興味津々


「私と仕事、どっちが大事なの?って聞かれるの」


『うわ、なにその安物のドラマみたいな台詞』



✴︎✴︎✴︎


「わかれてほしいの」

「え?なんで」

「もう待つのに疲れた」

「やだよ、別れたくない」

「じゃあ、ずっとそばにいてよ」

「・・・」


「私と仕事、どっちが大事なの?」



✴︎✴︎✴︎




「この台詞ってさぁ...明らかに、わざと嫌われようとしてるよね?」


『ね、それもしホントに言われたら、なんて答えるの?』


「ん〜答えは分かりきってるけど」


『でもそれ言ったら...』


「そうなんだよね、終わりだよね。だから答えられない」


いや、この台詞を言われた時点で終わりなのか

どちらにしても詰みか




✴︎✴︎✴︎


「その質問に私がなんて答えるか、友希なら分かってるよねぇ?」

「分かってる」患者の命の方が大事に決まってる

「それを言わせたいの?」

「聞きたくない」

「だったら・・・」


✴︎✴︎✴︎


その後どうなったかは、覚えていない


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る