第14話 電話

「なんだか、電話も新鮮ですね〜」

「そうだね、あれ?初めてだっけ?」


研修2日目の夜

ようやく時間が出来たので、メッセージを送ったら

すぐに返事がきて

何度かやり取りした後

電話で話すことになった


“だってセンセイ、文字打つの慣れてないでしょ?返し遅いもん。いっぱい話したいことあるんだから、朝になっちゃいますよぉ”

だそうな



「ですね〜」

「そろそろさぁ、敬語やめたら?普通でいいよ。“センセイ”って呼び方も、出来ればやめて欲しいんだけどなぁ」


「あ〜うん、そう..だね。しょうこさん?」

「あれ、なんか急にテンション下がってない?嫌なら別にいいよ!」

「いや、嫌じゃなくて、その...」

「ククっ」

「え?もしかして笑ってる?」

「今のゆきちゃんの顔が想像出来るよ。

あ〜それで、何だっけ?話したいこと?」


「えっと、しょうこさん、、は、海と山どっちが好き?」

「ん?山かなぁ。海も眺めるのは好きだよ。泳げないから見るの専門」

「えぇ〜泳げないの?」

「だって水の中、呼吸出来ないじゃん」

「あの、息継ぎという言葉、知ってる?」

「知らない!なにそれ日本語?」

「もう〜」


「山は子供の頃、よく父親に連れて行かれんだぁ」

「あ、お父さん?」

「うん、もう亡くなってるけど」

「あ、すみません」

「いいよ、別に。山の上で見る星空がサイコーなんだよ」

「えぇ〜見てみた〜い」

「うん、いつか連れてくよ」

「やった!じゃ、次。遊園地は好きですか?」

「あ〜遊園地は、あんまり・・・絶叫系?は絶対無理だし、回るのもダメだし

たぶん、過去1回しか行ってない」

「え〜観覧車とかも苦手?」

「高いとこもダメ」

「以外にダメなこと多いんだ。何でも出来そうなのに」


「そーだよ、実は何も出来ないダメ人間ですが、嫌いになった?」

「なりませんよ!」

「ふふ...」

「あれ?センセイ、もう眠いんじゃ?」

「あ、またセンセイに戻っちゃったぁ」

「あ!」


「まぁいいや。なんかねぇ、ゆきちゃんの声聞いてると眠くなってくるんだよねぇ

そういえば、ゆきちゃんの部屋にいると

何故か眠くなるしなぁ」

「え〜私のせい??」

「ふふ。で、この質問攻めは、デートで何処へ行くかって話?

なかなか行けなくてごめんねぇ..

休み、貰えないかなぁ..

帰ったら交渉して.......




「センセイ?大丈夫ですかぁ?え?寝ちゃった?

しょうこさん?

しょうちゃん?」


「ククっ」

「え?」

「いいなぁそれ!もっかい“しょうちゃん”って呼んでよ」


「えぇ〜もう寝ちゃって〜忘れてください!」

「呼んでくれたら寝る」

「うぅぅ」


「おやすみ。ゆき!」

「しょうちゃん、おやすみ!」

「よく出来ました。」

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