第10話 師長
「ねぇセンセイ、ちょっと働き過ぎじゃない?たまには飲みに行かない?」
「あ、いいですねぇ、師長〜行きましょう」
「急に誘ってゴメンね、元気ないみたいだったからさぁ」
「いえ、ありがとうございます。元気ない?かなぁ」
「自覚なし?」
「いや、心当たりはあるけど、顔には出してない...ハズなんだけどな」
「うん、顔には出てない。けど、態度に出てるよ!また当直室に入り浸ってるでしょ?」
「あ〜そうかも。帰るの面倒で」
「センセイ、寂しくなるとそうなるから。で、なに、また振られたの?」
「またって…ん〜告白する前に振られた感じかな」
「そ〜なんだ?いい感じだと思ってたけど」
「え?誰のことか分かってるの?」
「もちろん」
「なんだ、師長にはバレバレかぁ〜上に立つ人って凄いんだねぇ」
「ずっと見てきたからだよ」
「え?」
「なんでもない!さぁ飲もう」
「うん、飲む。あ、同じのおかわりお願いしまーす」
「ていうかセンセイ、それ、ウーロンハイじゃなくてウーロン茶じゃん」
「大丈夫だよ、私、ウーロン茶で酔える体質だから」
「もう研修医じゃないんだから、そんなに呼び出しもないでしょ?」
「うん、そうだけど。何があるかわからんじゃん?大きな災害が起きるかもしれないし」
「あの娘が怪我して運ばれてくるかもしれないし?」
「は?なっ、なんで・・・」
「刑事なんだってねぇ、危ない仕事だもんねぇ」
仕事が危ないんじゃなくて
アイツが危ないんだけど
「ちょっ待って!なんで知ってるの?」
「泣きながら喋ってたじゃん」
え、そうだっけ?
「いや、でもさぁ 今は、どうしてるかわからないよ。ずっと連絡ないし。案外、結婚でもして辞めちゃってるかも。それならそれで...」
「ふぅん、そういう顔して話せるようになったんだぁ。幸せになってるといいね!」
「そうだね」
「センセイも幸せになれるといいね」
「え〜私は充分幸せだよ〜救命救急好きだし、師長のことも大好きだし」
「それはそれは、どうもありがとう!ホントにウーロン茶で酔えるんだ」
「え?何か言った?...おかわりお願いしまーす」
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