祭りの終わり②
中部地方
長野県と山梨県の一部を十三凶星の1人にして上級魔王スレッドにも参加しているニーナこと魔王ミユが支配。愛知県と静岡県、三重県(関西地方)の東部を十三凶星の1人にして上級魔王スレッドにも参加しているサティこと魔王ハヤテが支配。岐阜県はすべての魔王が滅亡し、人類の統治区。福井県は魔王と人類が混在。新潟県は西部が俺、東部は人類が統治。石川県は俺と魔王カオルが支配。富山県は俺が支配。
中部の有力魔王は全員上級魔王スレッドの参加者か。
これは……狙ったのか?
一口メモ『石川県、富山県、新潟県西部を支配する十三凶星の1人にして最強と名高き魔王――創生王(ルビ:ジェネシス)の名で知られる我らが魔王シオン様が――』
「……なげーよ。それと、ついさっき最強ではないと自覚したぞ
。更に言えば、石川県は俺だけじゃなくカオルもいるだろ。情報を書くならもっと簡潔且つ正確に――」
「はわわわわっ! こ、これはタスクさんが……と、と、とりあえずぅ! 先に進みましょ!」
俺は深いため息を一度吐き、続きのメモ読み始めた。
『魔王ハヤテは最前線で戦う魔王。決断力が高いのか、今回のシオンさんの動きに、誰よりも早く反応し軍を動かした。三重県の東部を完全に支配するなど、支配領域を大きく伸ばした』
『魔王ナナシ……改めて新たな盟友魔王ミユは、今回の祭りで獲得した領土は山梨県の一部のみ。魔王ハヤテと比較しておとなしめ?』
『魔王カオルは福井県の県北を支配。福井県で最大の勢力になる』
『岐阜市を拠点にしている人類で中部最大勢力のセントラルエリア。圧倒的な力を誇るアスター皇国との争いにより疲弊したと思われたが、魔王ハヤテに追われた三重県、魔王ミユに追われた山梨県の人類が合流したことにより、相変わらず規模は大きい』
メモを見ると、タスクは魔王ハヤテをかなり警戒しているようだ。
そういえば……リナとヤタロウ以外には上級魔王スレッドの歪な交友関係を伝えていなかったか。
情報収集に分析を任せているタスクには情報を共有すべきなのか……? いや、あいつらとの関係がどのように変化するのか、不明確すぎる。
配下と言えど、上級魔王スレッドの関係を告げるのは時期尚早か。
んー、とりあえず……地図を見る限り中部の最大勢力はうちになるのか?
しかし、油断は禁物だ。
魔王ケイスケの例もある。東京とまではいかなくても、愛知県は人口の多い大都市だ。魔王ハヤテが俺よりも高レベルである可能性は十二分に考えられる。
まぁ、上級魔王スレッドが機能している間は
「今後の戦略としては……岐阜県の人類を警戒しつつ、新潟県の完全支配を目的とするのがベストか?」
「悪くないと思いますよぉ」
俺は日本地図の中部地方を見ながら、漠然と今後の方針を考えた。
近畿地方
大阪府と奈良県を十三凶星の1人にして上級魔王スレッドにも参加しているナナこと魔王ルナが支配。兵庫県を十三凶星の1人魔王ヨイチが支配。和歌山県を十三凶星の1人魔王ヒバリが支配。京都府と滋賀県はすべての魔王が滅亡し人類が統治。三重県と福井県は魔王と人類が入り乱れる群雄割拠の地となっている。
一口メモ『京都府は学生を主体とした解放戦線なる集団が完全統治』『滋賀県は反社組織(※任侠団体と呼ばないと怒るみたいっす)
「十三凶星どうしの争いは魔王ルナに軍配が上がったか」
「なんでも漁夫の利を狙った侠仁会も奈良に侵攻を開始して、ぐっちゃぐちゃの混沌状態になった挙げ句に……魔王ルナが勝ったみたいですよぉ」
「ほぉ」
「ネットで最強論議が出ると……毎回、東のケイスケに西のルナと言われるくらいですから、前評判通りの強さみたいですねぇ」
「東のケイスケは人類に負けたっぽいけどな」
「だと、最強は西のルナ……いえ! シオンさんですぅ!」
「そういうのはいらん」
中国四国地方
広島県、島根県、山口県を十三凶星の1人にして上級魔王スレッドに参加しているイッコクこと魔王ギンガが支配。香川県、徳島県、愛媛県を十三凶星の1人魔王アラタが支配。高知県と岡山県はすべての魔王が滅亡し人類が統治。鳥取県は人類と魔王が混在している。
一口メモ 『四国は魔王アラタと高知県の人類が一進一退の攻防を繰り広げている』『岡山県には桃太郎なる強大な勇者が存在しているらしい』『魔王ギンガが今回の魔王祭で静観していた為か、地方全体として大きな動きはなかった』
「桃太郎って……」
「岡山県だからですかねぇ?」
「本名なのか? 異名なのか?」
「んー、さすがに異名じゃないですかぁ? 猿、雉、犬の話は聞かないですが……いるんですかねぇ?」
「魔王側なら、それっぽい配下は創れるが……人類側だろ? さすがにいねーだろ」
「ですよねぇ」
九州地方
福岡県と熊本県北部を十三凶星の1人にして上級魔王スレッドのヤオイこと魔王メイが支配。鹿児島県はすべての魔王が滅亡し人類が統治。長崎県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県は魔王と人類が混在している。
一口メモ『鹿児島県は維新なる集団が完全に統治』『将来てきには南から勢力を伸ばす維新と魔王メイが九州の覇権を争うと予想される』『沖縄県は詳細な情報が入ってこないので完全に未知数』
「なんか情報がシンプルじゃね? 飽きたとかねーよな?」
「はわわわ!? えっとですねぇ……ちょ、ちょっとお待ちを〜」
カノンは例によってタスクに電話をかける。
「お待たせしましたぁ! えっとですねぇ、タスクさん曰く、そう報告するしかないくらいに九州は魔王メイと維新が強いみたいですぅ」
「ほぉ」
「特に魔王メイは……タスクさん曰く最強の魔王らしいですぅ」
「ほぉ」
「あ! も、もちろん……シオンさんは除いてですよぉ」
「だから、そういうのはいい」
俺は虫を追い払うかのように、手を振った。
ヨイショされたくらいで舞い上がるほど自惚れてはいない。
近隣の強大な魔王に、近畿地方で最強と目される魔王ルナ。そして、タスク曰く最強の魔王メイ。更に言えば……東北最大勢力の魔王スミレに、中国地方最大勢力の魔王ギンガが上級魔王スレッドのメンバーか。
贅沢言えば、関東にもメンバーは欲しかったが……それは贅沢すぎる望みだろう。
今回の魔王祭での最大の成果は経験値……ではなく、魔王ミユ――ラプラスの管理人と盟約を結べたことかもな。
俺は群雄割拠のありさまとなった日本地図を今一度眺め、生き残る――いや、勝ち残るための未来予想図を描くのであった。
☆★☆あとがき★☆★
いつも本作をお読みいただき、ありがとうございます!
というわけで、魔王祭編が閉幕となります。
報告→ナナがギンガという名前にずっと引っかかりを覚えていたので……ナナをルナ、イッコクをギンガに変更しましたm(_ _)m
執筆を再開したときに、魔王祭が一区切りつくまでは執筆を続けると宣言していたので……なんとか書き切ることが出来てホッとしております。
今後の予定については、改めて近況ノートにでも報告しようかなぁと考えております。
今後とも、よろしくお願いいたします。
2024年5月13日 ガチャ空
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます