部隊編成①
ん? そういえば、眷属にして魔王を配下にした場合……サラの元々の支配領域の扱いはどうなるんだ?
今回は《降伏》で魔王を配下にした時とは異なり、いつもの五月蠅い通知は無かった。
俺はスマートフォンを操作して、【支配領域】を確認する。
『魔王シオン支配領域
真核 58
DP 5500/5850
支配面積 367k㎡
総人口 0人
階層 12階層
特殊効果 なし 』
増えてないな。と言うことは、魔王サラの支配していた支配領域はどうなった?
「カノン!」
頼れる検索ツールを呼び寄せる。
「はぁい。何ですかぁ?」
カノンがふわふわと飛行しながら近寄ってくる。
「サラの支配していた支配領域が、俺の支配下にないのだが?」
「ほえ? そうなんですかぁ?」
「眷属化して魔王を配下にした場合、支配領域の扱いはどうなるか調べろ!」
「はぁい」
暢気な返事をするカノンだが、暫くすると目を瞑り真剣な表情で瞑想状態へと入る。
「え、えっとですねぇ……怒らないで下さいよぉ」
「何が? 早く答えを言え」
「決めたのは私じゃないですからねぇ……」
「分かったから、早く言え!」
「魔王が眷属化した場合は……支配していた支配領域は放棄されるみたいですぅ」
「は?」
「えっと、サラさんの支配領域は、現状誰からも支配されていない状態なので……一番最初に【真核】を触れた人が支配者になるみたいですぅ」
「は? 何でだよ!」
「だから、決めたのは私じゃなくて……」
俺は泣き顔を浮かべるカノンを無視してサラに詰め寄った。
「サラ! お前が支配していた支配領域の数は!」
「お前言うなーし! 7つみたいな?」
「7? レベル10なのに7つしか支配していなかったのか!?」
「うわっ!? 配下にした瞬間怒鳴るとかさげぽよぉ……。だって、あーしは守るのは苦手みたいな? 攻めるのは好きだけど、攻めている間に人類とか他の魔王に取られた的な?」
目の前のエルフはバカかも知れない……。いや、生き残るだけを考えたら常に攻め続けると言う作戦もありなのか……?
って、そんなことはどうでもいい!
「カノン! サラの配下だった魔物はどうなった?」
「野良と言いますか……野生化したと言いますか……」
「え? あーしの配下、野良なの!?」
俺の質問に対するカノンの答えを聞いて、サラが驚く。
「サラ! 配下を一番多く配置した支配領域はどこだ!」
「それは本拠地っしょ!」
「本拠地ってどこだよ!」
俺は地図を広げてサラを問い詰める。
「シオンっちって強引じゃね?」
「誰がシオンっちだ! って、どうでもいいからさっさと答えろ!」
サラは指を銃のような形にして、小矢部市の一角を指し示す。
7つ全ての支配領域は無理でも……1人でも多くのエルフを配下として捕らえたい。ダークエルフも融通の利く配下だがCPの消費は大きい。
「カイン! お前はサラの支配領域の構造を覚えているのか!」
「シオン様……今は名も無きエルフロードです」
「あぁぁあああ!? んな細かいことはどうでいいから、質問に答えろ!」
「ハッ。一部の支配領域であれば覚えております」
クロエたちは……かほく市の支配領域を侵略中だ。呼び戻すのは難しい。
俺はイザヨイ、サブロウ、カノン、そして念の為に19体のダンピールを引き連れて、サラに案内させ、旧サラの支配領域の侵略を開始する。同様に、待機していたリナの部隊にも元カインに案内させ旧サラの支配領域の侵略を命じたのであった。
◆
二日後。
結果として取り返せた支配領域の数は4つであった。聞けば、常にサラが侵略へ出向くと同時に留守を狙う魔王がいるらしく、そいつに2つの支配領域を奪われ、残った1つは人類の手により解放させられてしまった。
結果として百体以上のエルフとダークエルフを配下に加えることに成功はしたので、今回の件は次回へ繋がる反省材料として留めた。
慌ただしくバタバタした二日間であったが、落ち着きを取り戻した俺は本来するべきであった、自勢力の運用をカノン、ヤタロウと共に話し合うことにした。
まずは、眷属や元魔王の配下、そしてレア種族の配下をメモに書き出す。次いで、特性毎に仕分けを行った。
【オールマイティ】
シオン クロエ クレハ レイラ イザヨイ サブロウ ダークハイエルフ*2
【アタッカー(近接)】
リナ レッド ルージュ ガイ ブルー エルフロード*1 オーガブレイバー*2 ゴブリンブレイバー*6
【タンク】
アイアン ノワール オーガジェネラル*2 ゴブリンジェネラル*4
【アタッカー(魔法)】
ヤタロウ フローラ サラ ハイピクシー*10
【アタッカー(遠距離)】
ダクエル エルフスナイパー*6
【斥候】
カエデ
【検索ツール】
カノン
「えっ!? 私は【アタッカー(魔法)】の欄でよくないですかぁ?」
カノンの言葉を無視して、次はCランク以上の配下を特性毎に仕分けする。
【オールマイティー】
ダンピール ダークエルフ
【アタッカー(近接)】
ウェアウルフ ワータイガー*60 オーガ*100 ネコマタ*50
【タンク】
リビングメイル コボルトナイト*70 アイアンスライム*20
【アタッカー(魔法)】
リリム エルフ*80 ピクシー*60 レッサーデーモン*50 マジックスライム*70
【アタッカー(遠距離)】
ゴブリンスナイパー*30
こんな感じだろうか。
次は、役割に応じて割り振っていく。
【魔王】
シオン
【検索ツール兼お留守番】
カノン
【防衛】
ヤタロウ イザヨイ サブロウ
【侵略メンバー①】
リナ アイアン レイラ ガイ フローラ ダクエル
【侵略メンバー②】
クロエ ブルー レッド クレハ ノワール ルージュ
【侵略メンバー③】
サラ エルフロード ??? ??? ??? ???
同時に侵略出来るメンバーは余程のイレギュラーがない限り24人だ。但し、24人全てを精鋭にしてしまうと、いざという時に精鋭から死者が出てしまう。リナのようにユニークな存在や、ノワールやルージュのように創造出来ない貴重な配下は元より、他の眷属も多くの戦いを得て成長、進化しているので失いたくはない。
しかし、常に戦死者0で支配領域の侵略を挑むのは不可能だ。そうなると精鋭を生き残らせる為の捨て駒が必要となる。現状は精鋭6人対し、捨て駒が18体だ。経験値は出来る限り精鋭に集中させたいし、俺も最近の戦闘経験を経て……大規模な戦闘でない限りは、同時に指示を出せる人数は多くても10人。余裕を持つなら5人程度と理解している。
フルコートで競い合うバスケットボールの選手は5人。サッカーも11人だが、キーパーとディフェンダーを除けば5~6人でのパス回しが多い。スポーツの人数も大昔に効率化した結果、今の人数になったのだろうか?
そう考えると、侵略メンバーには後4人のメンバーを入れる必要が生じる。
「あのぉ……シオンさん? リナさんとクロエさんの部隊にエルフを固定メンバーとして配置しませんかぁ?」
悩む俺にカノンが声を掛けてくる。
「エルフ? 理由は?」
「エルフは回復魔法を使えます」
「つまりは、ヒーラーか」
「回復役でしたら、リナさんとクロエさんの部隊の連携を不用意に乱すこともないと思うのですよぉ」
「なるほど」
カノンの言い分は理に叶っている。俺は侵略メンバー①と②にエルフを追加する。
「シオン様!」
今度はサブロウが悩む俺に声を掛けてくる。
「何だ?」
「カノンたんを防衛に――」
――《ファイヤーランス》! ――《転移B》!
俺はサブロウを物理的に黙らせ、二度と邪魔されないように最前線の支配領域へと飛ばすのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます