吸血種と太陽
俺の現在のステータスは――、
名前:シオン
適正:カオス
種族:魔王(吸血種)
LV:3
CP:260
肉体:D(E)
魔力:D(E)
知識:E
創造:C
錬成:B
BP:6
特殊能力:魔王
支配領域創造
配下創造
アイテム錬成
闇の帳
ダークアロー
吸血鬼
吸収
血の杯
E→Dに成長させる為に必要なBPは2。D→Cに成長させる為に必要なBPは5。C→Bに成長させる為に必要なBPは10だ。
気になるのは、肉体と魔力の値の後ろに記載された()の値だ。
進化する前の俺の肉体と魔力の値はE。しかし、今のステータスはD。そして()の中は、進化以前の値であるEだ。
考えられるのは、吸血鬼の特性――『闇の空間であれば肉体と魔力が強化される』。
今、俺は太陽の光を遮るダンジョンの中にいる。つまりは、闇の空間?
今は、丁度支配領域への侵入者もいない。チャンスだ。
ぶっつけ本番での実験は怖いから、確か支配領域創造の中に……。俺は、スマートフォンを操作して『支配領域創造』をタップする。
お!? 発見!
『タイプ変更』から『森林』を選択する。
『支配領域の全域を変更しますか?(創造CP300) 部分的に変更しますか?(創造CP30)』
俺は部分的を選択して、自室近くの小部屋を指定する。
遠くから地鳴りの様な音が聞こえる。
『タイプ変更が完了しました』
それじゃ、移動するか。
62日振りに、俺は自室の外へと足を踏み出したのであった。
自室から歩くこと十分。薄暗いダンジョンの中を歩いていると、空からは太陽の光が降り注ぎ、木々が生い茂る、不思議な空間へと辿り着いた。
うぉ……眩しっ!?
俺は身も心も吸血鬼になってしまったのか、太陽の光がやけに目に染みる。
ふぅ……。何か緊張するな。
大きく息を吸って、ゆっくりと息を吐き出し、緊張で震えながら森林と化した空間へと足を踏み入れた。
な!?
太陽の光を浴びた瞬間、重度な立ち眩みに襲われる。
これは、キツい。実験しといて良かった……。
俺は立ち眩みに襲われながらも、何とかスマートフォンを取り出しステータスを確認する。
名前:シオン
適正:カオス
種族:魔王(吸血種)
LV:3
CP:237
肉体:F(E)
魔力:F(E)
知識:E
創造:C
錬成:B
BP:6
特殊能力:魔王
支配領域創造
配下創造
アイテム錬成
闇の帳
吸血鬼
吸収
血の杯
なるほどね。Eに戻る訳じゃ無くて、Fまで弱体化するのか。しかも、ダークアローが消失していた。ダークアローは進化によって習得した特殊能力では無く、魔力がDに成長した結果、習得出来た特殊能力のようだ。
ステータスを確認し終えた俺は、重くなった身体を動かして森林と化した空間から脱出する。
ふぅ……。
再び軽くなった身体を確認して、大きく息を吐き出す。
確認出来たのは、俺の根本的な肉体と魔力の値はEであるということ。
つまりは、BPを2振ればDへと成長するはず。
問題は、闇の空間での強化される値と、闇の空間以外で弱体化される値だよな。
単純に1ランクアップ。例えば、元となる肉体の値がDであるならば、闇の空間ではC。闇の空間以外ではE。と言う類いであればいい。しかし、不可視のポイントの増減であれば面白くは無い。例えば同じDランクでも、BPを2振った状態のDランクと、BPを6振った状態のDランクがある。
前者であれば面白いが、後者であれば面倒だ。
そもそも、肉体でBPを2振ったDランクと、BPを6振ったDランクって、性能は一緒なのか? 可視化されてないだけで、実は違う?
ダメだ。そんな考察を始めたら先に進めない。
俺は頭にふと浮かんだ疑問を打ち消して、最優先で考えるべき事へと思考をシフトする。
BPの振り方。選択肢は二つある。
1つは、肉体と魔力にBPを2ずつ振り分けてE→Dへと成長させる。
1つは、保留して次回のレベルアップ時に創造をC→Bへと成長させる。
知識は放置しよう。知識にまで振り分けたら器用貧乏になってしまう。
目を瞑り、知り得る情報を基に、今後起こりえる物語を妄想する。
よし、決めた。
俺は【ステータス】の項目から、BPを振り分ける。
肉体を二回タップ――肉体の値はC(D)へと成長。次いで、魔力を二回タップ――魔力の値もC(D)へと成長した。
強化の仕様は前者――1ランクアップだった。
試しに、太陽の日が降り注ぎ、木々が生い茂る空間へと足を運ぶと、肉体と魔力の値はE(D)へと弱体化した。
BPを肉体と魔力に振り分けた理由は2つ。
1つは、人類のステータスが想定以上に低かったこと。「うぇーいwww」氏のSNSによる申告が正しいのであれば、レベル8で肉体の値はE。つまりは、魔王はBPを振れば容易に肉体の値を上回る事が出来るのだ。
1つは、今後行う考察――『吸収』に関わっていた。『吸収』の性能次第では、俺も前線に出る必要が生じる。その為にも、最低限の自己防衛出来る力が欲しかったのだ。
BPを振り終えた俺は現在のステータスを確認する。
名前:シオン
適正:カオス
種族:魔王(吸血種)
LV:3
CP:252
肉体:C(D)
魔力:C(D)
知識:E
創造:C
錬成:B
BP:2
特殊能力:魔王
支配領域創造
配下創造
アイテム錬成
闇の帳
ダークアロー
ダークインダクション
吸血鬼
吸収
血の杯
『ダークインダクション:闇の力で思考を誘導する』
魔力が成長した俺は、新たな特殊能力を習得した。説明を見る限り、精神攻撃系の特殊能力なのか?
っと、まずはやるべき事を優先順位に沿って片付けないとな。
BPを振り終えた俺が次にやるべき事は――血の杯の創造条件の確認だ。
『血の杯:己の全てを込めた杯を創造。創造には、全てのCPを消費する必要がある』
全てのCPとは何を指すのか? 現在俺が保有しているCP――252を消費すれば、創造出来るのか、もしくは俺が保有出来る最大CP300を消費する必要があるのか。
前者であれば、血の杯の創造は容易となる。創造する度にCPが0になるのは痛いが、計算立てて創造すれば問題は解消される。しかし、後者であれば、今後の計画をより綿密に立てる必要性が生じてしまう。
俺は手の平を上に、両手を突き出し、念じる。
――血の杯。
………………。
何も起きない。試しにステータスを確認すると、CPは1も消費していなかった。
後者――最大CP300を消費する必要があるのか。
キツいな。CPが0から300に回復するまでにかかる時間は10時間。1日で最大2体までしか眷属が創造できない計算になる。しかも、それを選択すれば、その間は一切他の事にCPを消費する事が出来ない。
支配領域の在り方を抜本的に変更する必要があるな。
「あぁぁぁぁぁ! めんどくせー!」
考察するべき事の多さに、俺は思わず叫び声を上げるのであった。
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